村田商會、「このキズに味がある」
2016年12月08日
中古純喫茶家具が若者に人気
重厚感のあるソファーやテーブル。クリームソーダ、ナポリタン...。
こんな昭和ノスタルジックな純喫茶が20〜30代の若者の間で、ひそかなブームになっているらしい。中古純喫茶家具専門に販売する村田商會(東京都練馬区)が主催した「昭和喫茶家具展」は4日間で、100人以上を集客。その大半が純喫茶世代ではない、若者たちだったと言う。
現代の家具には珍しい、重厚感のあるデザインが「逆に新しい」と20〜30代に人気だ
「このキズに味があるんだよね」
台東区谷中のギャラリーでの展示会。若い女性がコーヒー片手に腰掛けているのは、古びたソファーだ。屋内には時代を感じさせるレトロな家具が、ずらりと並ぶ。これらはすべて、昭和時代の純喫茶で使用されていたものだ。
展示会を企画した村田商會は、純喫茶で使われていた中古家具専門のネットショップだ。これまで1000件以上の純喫茶を巡ってきたという村田龍一代表が、昨年12月にオープンさせた。
調達チャネルは閉店する喫茶店
閉店する純喫茶からテーブルや椅子を買取り、販売する。平均単価は、5000円程。家具の他にもコーヒー豆の収納機や、卓上のインベーダーゲームなど当時のものも取り揃えている。
購入するのは、個人が7割を占める。なかでも目立つのが、20〜30代の若者たち。
「喫茶店めぐりが趣味の若い人たちが、インテリアとして購入していくパターンが非常に多いんです」(村田龍一代表)
現在ある純喫茶の大半が、70年代にオープンした。そのため買い取った商品は、どれも椅子の足がさびていたり、ソファーのカバーが破れていたり、使用感が目立つ。しかし敢えてメンテナンスは最小限にする。
「逆にこっちの方が味があると喜んでもらえるんですよね」(村田代表)
①~③昭和喫茶家具展の様子。商品の椅子に座り、コーヒーを楽しめるなど、カフェとしても好評を博した
④ネットでは調達先の純喫茶の歴史なども解説する
404号(2016/11/25発行)20面