PCNET、月額でPC周りを一括提供
2018年12月24日
パシフィックネット (東京都港区)は、従来のIT機器の引取回収からデータ消去、リユース販売というフロー型ビジネスから、IT機器のライフサイクルマネジメント(LCM)における、デバイスレンタルとITサービスを中心としたストック型ビジネスへの収益構造の転換を図っている。
小売からサブスク型へ
月額でPC周りを一括提供
同社はWindows XPサポート終了に伴う切り替え特需の反動減の長期化をきっかけに、より安定的な収益基盤の構築を目指してきた。そこで行ったのが、リユース事業と並ぶ柱として創業時から提供していたデバ
イスレンタル事業と、急激に需要が高まっているITサービスの融合による、ストック型ビジネス中心への転換だ。
この動きを象徴するのが、11月に開始した「Marutto(まるっと)365」。これはモバイルノートPC・通信・キッティング・Office 365等のクラウドサー ビス・ヘルプデスク・使用済みPCのデータ消去・撤去(引取回収)までをサブスクリプシスクリプション(月額制)で一括提供するサービス。働き方改革推進の流れの中で、各企業はデバイスの社外利用(モバイルワークやリモートワーク)でも安心して業務が遂行できるセキュリティや運用体制が必要となる。
一方、企業のIT人材の獲得は今後より厳しくなっていくと予想されている。こうした外部環境を踏まえ、「『ひとり情シス』や『兼務情シス』または『情シス不在』でお困りの企業のITにまつわる課題を解決するサービス」(老川賢取締役)として普及を推し進め、持続的な成長を図る。
サービス業態へ体制整えた
9月には法人向けのSIMサービスを展開してきた完全子会社の2Bを吸収合併、また10月にはマイクロソフ
トのテクニカルサービスを提供してきた、テクノアライアンスの完全子会社化を発表。自社で提供するLCMに通信を含め、且つモバイルワークに適したビジネス向けクラウドソリューション「Microsoft 365」を始めとした最新のノウハウを獲得し、更なるサービス範囲の拡大・強化を行った。
既存の資源は、選択と集中を通じてストック型に適した仕組みに再構築している。「5月までに全国に10店舗あったリユースPCの販売店舗を全て閉店した」(同氏)。店舗での小売およびBtoCビジネスからは完全撤退し、リユースPCの販売については自社ECと法人営業を中心としたB向けの販売に集中する。
販管費の大幅な抑制や、店頭スタッフの再教育によるITサービス・ヘルプデスクスタッフへの配置転換を通じて、サービス業態への転換を加速している。リユースとの相乗効果も見込む。Marutto 365では2年ごとにデバイスを最新機種へ変更することを前提としているため、レンタルアップによる鮮度の良いリユースPCの自社生産を行うことができる。2021年5月期には売上高55億円、経常利益5億円を目指す。
第453号(2018/12/10発行)24面