JAFRA講習会、産廃処理に「マニフェスト」 懲役5年、罰金1,000万の罰則も
2019年09月19日
日本什器備品リユース業協会(JAFRA)は、中古のオフィス家具や什器備品を扱う業者に、講習会を定期開催している。7月に行った第3回では、「廃棄物処理の基本」がテーマだった。JAFRA会員のオフィスバスターズに所属し、シニア戦略アドバイザーを務める荒川信一氏が講話。産廃の収集運搬・処分で、排出業者と契るマニフェスト(産業廃棄物管理票)の制度などを説明した。
▲講話するオフィスバスターズ リユースソリューション本部シニア戦略アドバイザー荒川信一氏(右)
排出業者は処理過程の確認義務あり
JAFRAは7月24日、第3回JAFRA講習会を東京・日本橋にあるオフィスバスターズ本社で開催。関連業者から22名が聴講した。
今回の「廃棄物処理の基本」で、オフィスバスターズの荒川氏はマニフェスト制度について話した。同制度では、廃棄物処理法が定める事業活動により生じた20種の廃棄物において、それらを排出する業者は収集運搬・処分を許可業者に委託する際、産業廃棄物管理票と呼ばれる伝票を許可業者に交付し、最終的に返送させることで処理終了の確認をする義務があると定めている。
20種の廃棄物とは、金属くず、廃プラスチック類、ゴムくず、ガラス、コンクリート、陶磁器くず、がれき類、汚泥など。
講習では、説明時にロープレ動画が用いられた。その中では、排出業者と処分を受託する業者が処分費用を決める交渉の席で、受託する側から「マニフェストを交わさない分、処分費を安くしてあげる」と、セールストークを繰り広げた場面があった。これは当然許されることでなく、聴講者に注意喚起を行った。
同制度における罰則には、処理を受託する側にも定めがある。マニフェストの契りを怠ったり、廃棄物をみだりに投棄したりした際には、5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金、またはこの併科が課せられる。
現在マニフェストは、一般に全国産業資源循環連合会が発行する複写式の紙によるものと、日本産業廃棄物処理振興センターが管理する電子版の2種類がある。
廃棄物と買取、見積書の混同作成NG
荒川氏は不適切な産廃処理事例に、2016年に起きた「カツの不正転売」を挙げた。カレーハウスCoCo壱番屋から処分を受託した愛知県の産廃業者ダイコーが、岐阜県の卸売業者みのりフーズに不正流通させた問題は記憶に新しい。この一件では電子マニフェストで処分終了をしたとの虚偽登録がなされていたという。
荒川氏は、まだまだ産廃処理フローは不透明で、排出業者や行政庁が違反事由に気づくことができない点には問題があると、指摘している。
同会ではほかにも、見積書の混同作成について注意喚起をした。処分を受託した業者が同時に買取りの取引も行う際、廃棄物処理と買取りにおける見積もりを混同させて、排出業者に提示することを駄目としている。
第471号(2019/09/10発行)9面