《聞きこみ》フィリピン輸出に注意 未払いトラブルが増加
2019年07月13日
回収事業者やリサイクル店によるフィリピン向けコンテナ輸出でトラブルが増加していると言う。中には悪質なケースもあり注意が必要だ。実害を被った複数の事業者に匿名を条件に話を聞いた。
フィリピンは既に中古供給過多?
フィリピンでは日本企業が関与するいくつかのオークションが運営されており、回収事業者やリサイクル店にとっては重要な輸出先になっている。しかし、近年は支払い遅延や未払い等のトラブルが相次いでいると言う。コンテナで複数本送ったが、支払いが全くないという被害にあった事業者が何社も出てきている。「連絡は取れても、振り込んだつもりとごまかされる」と言う。また、「想定を大きく下回る金額しか振り込まれなかった、信じられない」と憤る事業者もいる。
買取店にとって、廃棄コストを考えると売れ残り品等の仕向け先としてフィリピンは重要な販路だ。中にはリサイクル店の苦しい台所事情を付け狙うかのような詐欺的な事業者もいると言う。
被害の中には悪質なケースもある一方で、「マーケットの変化を理解していないのでは?」と指摘する声もある。数年前までは現地の新品より日本の中古は価値があるとも言われていたが、今では新品、中古ともに供給が増えたことで、「新品より安いただの中古品」と相場が以前よりも下落していると言う。そのため、期待した販売金額を下回ったからと言って悪質とは言えない面もあると言う。
「フィリピンのオークションは、評判が良いところもあれば、悪いところもある。ただ、今良くてもずっと良いわけでもない。経営が厳しくなって支払いが遅れることもある。リサイクル店がその辺の事情もちゃんと踏まえた上で輸出を行う必要がある」とある事業者は指摘する。
状況は常に変化するため、話を鵜呑みにせず同業者等から情報を集めることがひとつの防止策となる。おいしい話には特に注意が必要だ。
第467号(2019/07/10発行)3面