【Reuse×Tech Conference セミナーレポート】 越境販売のポイントを紹介 売上激増までのプロセスとは_ワサビ
2024年11月22日
リユース業界最大級イベント「Reuse×Tech Conference for 2025」が10月2日・3日の2日間、東京・日本橋で開催された。10月2日D会場では、越境・国内ECの一元管理システム「ワサビスイッチ」を提供するワサビ(大阪府大阪市)の執行役員 古賀竜馬氏と、高級ブランド時計の買取販売を展開する羅針(東京都中央区)の佐藤卓課長、保坂太一氏が登壇。「人を増やさず越境ECスタート!売上激増のリアル成功体験&失敗事例」をテーマに講演を行った。登壇内容をダイジェストで紹介する。
本講演では、羅針が2022年より展開している越境ECを事例に取り、売上拡大までの過程を追った。冒頭ではまず、越境開始以前の状況について解説。同社は独自の基幹システムを構築し、国内向けにビジネスを展開、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ショップサーブのほか実店舗を展開していた。
そうした中、2022年の円安進行を機に越境事業を開始した。初めにショップサーブの出品情報を引き継ぐ形で、高級時計専門ECのChrono24へ出店。同社の出店は反響を呼び、翌月には3000万円の売上げを叩き出した。
一方、ここである課題が浮かび上がる。佐藤氏は当時を「越境でも売れることが分かったものの、販路を広げられない。次のステップが踏み出せない状況だった」と振り返る。高級腕時計という商品の特性上、ターゲット層がある程度限られる。潜在顧客とのタッチポイントを増やすにあたり、多モール展開は欠かせないポイントだった。
しかし、独自システムのカスタマイズには費用と時間がかかる。さらに、当時は海外向けの出荷業務を手動で行っており、売上拡大に伴なって管理業務が煩雑化していたという。こうした課題をクリアするため導入したのが、ワサビ社のワサビスイッチだった。
個体別の情報を一元管理 出品業務が急速に効率化
ワサビスイッチは、買取りから在庫管理、一括出品、発送管理などを一元管理できるEC管理システムだ。カスタマイズ性の高さと国内外モールとの連携力が、同社の需要とマッチした。
佐藤氏は「特に商品登録機能を重視した」と話す。腕時計の商品管理には、ブランド名や型番名、付属品の場所、傷の有無など、さまざまな情報が必要になる。従来のシステムでは、こうした個体の特徴を一つひとつ手入力していた。そこでワサビスイッチ導入時には、先述の情報に関して自動入力機能を付帯。個体によって異なるコンディションや販売価格、画像等を追記すれば出品が完了し、業務効率が改善した。
eBay出店を開始 売上高は5ヵ月で160倍に
こうして同社は、越境販路の拡大を期してeBayへの出店に乗り出す。ワサビスイッチに登録されている情報で初期設定をしておけば、ワンボタンで出品ができ、また翻訳機能により楽天市場の商品情報をeBayに活用できることから「スムーズに出店ができた」と佐藤氏は語る。
出品後1~2ヵ月はeBayの出品制限制度により売上が伸び悩んだものの、販売リミットの緩和等により、3ヵ月目には月商が約400万円に。また4ヵ月目には、eBay内の10%割引企画に参加して売上げが跳ね上がった。
この頃には、約3000万円の売り上げを記録。同モール内でのリスティング広告や為替相場の変動も、飛躍を後押しした。「高級商材はレビューの数が信頼につながる。信頼がなければ、割引終了後に実績が付いて来ない。そのため、この時期は戦略的に販売価格を調整した」と保坂氏は語る。こうしたベース作りが功を奏し、5ヵ月目には、売上高が出店初期の160倍となる約8000万円に達した。
また、同社では同時期にメルカリShops、Yahoo!オークション、楽天ラクマといった国内モールにも出店。ワサビスイッチ導入から数ヶ月で販路拡大と売上アップを実現した。
システムの有効活用で越境販売への一歩を
セッションの終盤には、海外販売における出荷作業について話題が移行。保坂氏は「国内外の注文を一括管理できるだけでなく、注文ステータスが各モールに反映される。また、従来は送り状を手入力していたが、システム導入後は自動出力が可能になった。受注から出荷までの手間が省けただけでなく、顧客対応に時間を割けるようになった」と話す。
最後に、越境販売へ踏み出す際に重要な事項を「最初の一歩を踏み出す勇気」「越境ECでコンスタントに売上を上げる土台作り」「出品数を増やすこと」と分類。佐藤は「越境販売には大きなチャンスがあり、言語の壁等ハードルを感じやすいと思うが、まずは踏み出してみることが大事。ワサビスイッチを使う事で、人手を増やす事なくスタートができ、徐々に運用を整えていく形でも、リターンが大きい市場だった」とまとめた。
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