第48回 中古携帯の輸出(2)
今回は「中古携帯の輸出パート2」。前回海外輸出のおススメ機種を発表したので、今回はおススメの国を詳しく紹介します。
まずは中古携帯の世界情勢から。欧米は日本以上に携帯電話のリユース・リサイクルが進んでおり、この分野においても先進国です。では、詳しく見ていきましょう。
iPhone販売額、日本より1~2万円高
〈ヨーロッパ〉
ヨーロッパ各国から集められた携帯電話は、主にアフリカ、アジアに輸出されています。特にイギリスは、官民一体で中古携帯事業を推進しています。
〈アメリカ〉
PCなどと同じように、携帯に関してもリファービッシュ(修理再生品) の文化がいち早く浸透。リファービッシュして海外へという流れができています。
〈東アジア〉
韓国、中国では中古携帯のマーケットが日本以上に成り立っています。特に韓国は中国等に輸出量が多いです。
しかし、これらの国では携帯の普及率は100%以上を超えており、これから爆発的な回線数は期待できません。
中古携帯のマーケット成長を左右するのが、以下の6つです
●人口及び人口分布
●携帯電話普及率
●携帯電話市場の成長率
●GDPの成長度
●キャリアが発売している新品の値段が高い
●SIMロック解除されて販売されているか
上記項目に日本からの輸出という観点を加えると、
●日本からの距離(遠いと送料がかかる)
●関税(携帯電話輸入禁止の国もある)
の2つの条件が加わります。
これらの条件から導き出した輸出におススメの国が東南アジア、その中でも「シンガポールとフィリピン」です。
両国の成長を左右する項目を表にまとめてみました。
※アワーズ調べ
これらの国はiPhoneの販売価格を例に挙げても、日本よりも1~2万円高く取引されているケースもあります。非常に魅力的な両国です。ただ、気をつけないといけない点もあります。
〈シンガポール〉
群雄割拠の状態で、ネットを中心として実店舗も展開している業者が10社ほどあります。意外に参入障壁が高そうです。
〈フィリピン〉
偽者のスマホが大量に流通しているため、それらとの違いをどう出すか。盗難が非常に多いので、輸送中になくなる事例もあります。
最後に、海外のマーケットでは日本以上にキズや塗装のハゲにシビアです。当然商習慣も異なります。しっかりとマーケットリサーチをした上で、輸出を進めていくのが成功への近道です。
株式会社アワーズ
粟津 浜一 代表取締役
<Profile>
1979年12月岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院修士課程修了。ブラザー工業株式会社を経て、2009年株式会社アワーズを設立、社長に就任。中古携帯市場動向セミナーを数回開催。これまでに500以上店舗に中古携帯事業を展開、コンサルを行っている。
385号(2016/02/10発行) 8面