PC等回収をネットで手軽に
100自治体が行政サービスに採択
宅配買取・ネット型総合リユースの「ネットオフ」を展開するリネットジャパングループ(愛知県大府市)が、昨年12月に東証マザーズに上場した。新規事業の小型家電リサイクル「リネット」は、ネットオフで培った〝宅配便で集める〟という手法を応用したもの。自治体への手続きなど従来不便だった点を利便性の高いものに変えた。
リネットジャパングループ 黒田武志社長
――改めて、東証マザーズへの上場おめでとうございます。
僕は創業以来ずっと上場を目指してやってきて、今回で3度目のチャレンジでした。やっとたどり着いたという感じですね。
――各事業の売上規模は。
メディア商材を中心としたネット型総合リユースのネットオフでは前期35億円に達し、今期は39億円を見込んでいます。新規事業の小型家電リサイクル「リネット」は、前期2億3000万円で、今期には黒字化を目指しますよ。立ち上げて2年半ほどになりますが、だんだん芽が出てきました。
――調達資金は何に充てますか?
調達資金は2億〜3億円と、それほど大きな額ではないのですが、商品センターやシステム投資などバックヤードの部分に使おうと思います。
上場の狙いは資金を集める面もあるのですが、むしろ社会的な信用を得ていくという側面のほうが大きかった。特にこれから伸ばしていく小型家電リサイクルは、行政と一緒に仕事をさせてもらう事業です。上場という社会の公器は信頼性に繋がる大事な部分だと考えます。
簡単に小型家電処分
佐川急便が集荷に
――小型家電リサイクル事業について詳しく教えてください。
簡単に言えば、不要なPC・携帯等の小型家電回収をネットで予約でき、申し込んだ翌日には佐川急便が集荷に行くものです。自治体の広報誌やゴミ分別表などを通じて告知するほかリネットのホームページからも集客していて、ユーザーは予約後、自宅で集荷を待つだけでいい。自治体であれば粗大ごみ回収の一つとして小型家電を扱っているのですけど、不便な面もあります。指定の日が決められていて、他にもコンビニ等で買ったリサイクル券を捨てる家電に貼って、前日に捨てるわけにもいかないので当日通勤前に指定の場所まで捨てに行くとか...。
――これが御社のサービスなら、自宅にいながら簡単に回収依頼できますね。自分で運ぶ必要もないわけで。
利便性が格段に高まったと思います。お陰様でお客さんのアンケートでも非常に高い満足度になっています。回収件数は非公開ですが、前年比でいうと5倍くらいのペースで伸びています。
特に宅配便の良さというのは日本全国を網羅できる点ですね。100の自治体と提携しているのですが、今はまだ都市部が多い。今後は人口の少ない地域や離島等も含め、ユニバーサルサービスになるように提供したい。社会的な責務としても注力するつもりです。
――ただ利便性が高いだけではなく、データ消去や個人情報漏洩の防止など行政が対処しきれない部分もカバーしています。
ええ、データ消去はオプションで行います。またこの回収モデルだと、佐川急便がきちんと取りに来てくれて、中間処理会社に引き渡せる。中間処理会社は小型家電リサイクル法に基づく許認可を取得し、適正に処理できる業者なので不法投棄等による個人情報漏洩の心配もありませんね。当社自身も許認可を取得した上で佐川急便に回収を委託しています。だからユーザーにとっては安心感になります。
自治体の多くが、こうしたデータ消去・個人情報漏洩防止のハードル等あり、うかつに引き取ることができないのが現状です。全国に眠る退蔵PCは2000万台以上、携帯に至っては2億台なんて言われてますので、当社が行政サービスに代わって受け持つことができればと思います。
社 名 リネットジャパングループ株式会社
所在地(本社)愛知県大府市一屋町三丁目45番地
(第1商品センター)愛知県大府市柊山町三丁目33番地
(第2商品センター)愛知県大府市一屋町三丁目45番地
設 立 2000年7月
資本金 5億5,217万円(2017年1月20日現在)
従業員数 338名(PA含む/2016年9月30日現在)
事業内容 グループ会社本体としてネットオフのネットリユース事業を展開すると共に、100%子会社としてリネットジャパン株式会社にて ReNet.jp のネットリサイクル事業を展開。
社長プロフィール
1965年大阪府生まれ。1989年トヨタ自動車㈱入社。ブックオフ㈱の起業家支援制度第1号として1998年に㈱ブックオフウェーブを設立した。2000年には㈱イーブックオフを設立し、ネット型リユース事業を開始。2005年ネットオフ㈱に社名変更。2013年にリネットジャパン㈱を設立し、ネットリサイクル事業を開始。2014年リネットジャパングループ㈱に社名変更し、2016年12月東証マザーズに上場した。
最近感銘を受けた本は稲盛和夫の『敬天愛人』。同氏の勉強会「盛和塾」で15年以上、経営や経営者としてのあり方も学んでいる。
409号(2017/02/10発行)9面