『キャリア下取vs中古買取』激化、スマホの二次流通に異変
2016年02月25日
未使用品が市場から消える?
総務省が携帯キャリアに、販売奨励金やキャッシュバックを縮小するよう指針を示したことで、中古市場への「未使用品」の供給が減少している。これに端を発し、「キャリアの下取り価格上昇」という噂も業界を駆け巡った。代表的な中古携帯取扱会社5社に影響を聞く。
ゲオモバイル渋谷センター街店で販売している中古iPhone 6
キャッシュバック規制で
「方針が発表されてから、大きな変化があった」と話すのは、中古PC・携帯を販売するイオシス (大阪府大阪市)だ。
それまでは新品未使用品が取扱いの6〜7割を占めていたが、これが逆転して8〜9割が「中古品」になった。
買取り市場に出てくる端末には大きく2つのグループがある。1つは、消費者から買い取った『中古品』。
もうひとつが、乗換キャンペーンなどの仕組みをうまくついて転売で利ざやを稼ぐ「転売士」や、代理店が抱える在庫を買い取った『未使用品』だ。販売奨励金やキャッシュバックが無くなることで、後者が出てきづらくなった。未使用品の買取りに依存していた会社は玉不足に陥っている状態だ。
冒頭のイオシスの場合は、取扱いを「中古」にシフトしたことでこれをクリアしたと話す。
一方で、ブックオフコーポレーション (神奈川県相模原市)をはじめとする他のリユース企業は、もともと「中古」中心に買い取ってきたため、「影響なし」と回答している。ゲオ (愛知県名古屋市)は「今のところ分からない」と慎重な姿勢だ。
ソフトバンクはジャンク買取も
さらに、これに絡めて新たな懸念が持ち上がった。「キャリアが下取り価格を値上げするのでは」という噂がささやかれているのだ。
キャッシュバック等で販売を促進することができなくなるため、「下取り」で事実上の値下げを敢行。消費者に訴求するという筋書きだ。
「下取りどころか、今後買取りにも参入するかもしれない。キャリアだけでなく量販店も中古市場に噛んでくるのでは」と、眉を曇らせるリユース企業もあった。
実際、【表1】を見ても分かるように各キャリアの下取り価格はすでに中古企業の買取価格と拮抗している(※諸条件あり)。ソフトバンクは同社のHPによると、良品の下取りだけでなく「ジャンクの買取り」まで始めているようだ。
386号(2016/2/25発行) 1面