第52回前編 総務省タスクフォースの影響④ 消費者への影響
第49回からタスクフォースシリーズを開始し、概要からキャリアの動き、私たち中古事業者への影響と進めて来ました。4回目の今号は「消費者への影響」です。
ここでは消費者に関連するトピックのみを挙げて、どのような影響があるのか考察してみます。セールスの時の基礎知識として活用してください。
2年契約金解除無料、長期利用者割引
①料金プラン変更
3月1日 3キャリア(au、ソフトバンク、ドコモ) がライトユーザー向け料金プラン発表
3月中旬 au、ソフトバンクが2年契約解除料のかからない新料金プラン発表
3月14日 ドコモが長期利用割引「ずっとドコモ割」を発表。10年以上利用前提を4年に大幅短縮。また2年契約解除料のかからない「フリーコース」も発表
料金プランが刷新されたことで、ライトユーザーや、(ドコモに関しては) 長期利用者のお得度がUPすることになります。
auやソフトバンクの新料金プランに関してですが、従来の2年縛りの契約より月額基本料金が300円高く設定されています。その結果、31ヵ月を超えて利用を続けると、従来プランでかかっていた9500円の解除料よりも累計支払額は高くなってしまいます。それに対してドコモの場合は、2年以降に契約更新をすると割引がつくようになります。3キャリアの中では最もドコモのユーザーがお得になります。
②キャッシュバックと下取金額の減少
インセンティブ(販売奨励金) 適正化の流れで、キャリア側から販売代理店へのインセンティブが減り、その結果、代理店から消費者へのキャッシュバックが減少。そのため、各キャリアともユーザーメリットを出そうとして、その減ったインセンティブ分を下取金額に追加し始めた。
しかし総務省はこのような状況を良いと思っていないようです。
5月25日公表した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」の意見募集結果内で見解を示しています。
詳細http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban03_03000264.html
一部コメントを抜粋
・端末の引取りを条件とした割引等(下取) について、引取りに係る端末の中古市場における一般的な買取価格を著しく超える場合は、実質的な端末購入補助にあたる
③実質0円禁止
月額の実質負担0円が禁止された。
実質0円対象の機種を選んでいた人がほとんど。毎月の負担額が増えるため、消費者にとっては改悪以外のなにものでもないのです。
最後に5月17日に行われたドコモの新機種発表会について。新機種投入サイクルを年2、3回から1回に減らし、同時に発売機種も大幅に絞ると発表しました。消費者にとっては選択肢が狭まる一方、購入計画が立てやすくなります。選択肢が狭まると中古スマホに流れる人も増えるのではないでしょうか。
株式会社アワーズ
粟津 浜一 代表取締役
<Profile>
1979年12月岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院修士課程修了。ブラザー工業株式会社を経て、2009年株式会社アワーズを設立、社長に就任。中古携帯市場動向セミナーを数回開催。これまでに500以上店舗に中古携帯事業を展開、コンサルを行っている。
393号(2016/06/10発行)6面