物売るだけでない意義
寄付件数は年間10万2000件以上、来客数はおよそ44万4000人以上。神奈川県を中心にチャリティーショップ「WEショップ」を55店舗展開する、WE21ジャパン・グループ。ショップをメインとした事業で2015年度は、3億6000万円の総事業高をあげた。
リサイクルショップやフリマアプリといった選択肢が増える中で、なぜ人々はチャリティーショップに中古品を寄付し、そこで買い物をするのだろうか。
JCSNが運営するチャリティーショップ
「チャリティーショップ(CS)は、困っている人のために何かしたいと言う気持ちの受け皿として、今後もニーズが広がっていくでしょう」とWE21ジャパンの贄川恭子理事は話す。
CSの最大のポイントは、売上金額が社会貢献活動に使われている点。同グループでの収益も、国内海外31ヵ国の医療や教育などの分野での支援に充てられている。そのためショップで販売する商材は買取でなく寄付で集めた物。働くスタッフも主婦や学生など有志のボランティアが大半を占める。
この善意の仕組みを成り立たせるには、「なぜ支援が必要なのか、具体的にどんなことをしているのかを正確に知ってもらうことが大切」。
店頭には海外情勢を伝えるポスターを貼り、お手製のミニブックやパンフレットをお客に配っている。定期的に店内で勉強会や講座も開く。
伝える情報は、新聞やテレビとは一味違った視点だ。「我々が支援活動をする中で実際に見てきた風景、触れ合った人々のことを伝えています」。彼らが語るリアルなストーリーが、メイン客層である中高年女性の心を動かす。
東北・熊本で災害時にも活躍
「物を売る場所だけではないということも、大きな意義です」と贄川理事は語る。
善意を持った人や物が集まる場所であるCSだからこそ、課題を解決する地域拠点としての役割も果たす。
実際に東日本大震災時には、福島県内のCSが拠点となり、支援物資をスムーズに被災者に届けた。
そして最近新たに注目されているのが、就労支援としての場だ。病気や様々な事情でいったん仕事から離れた人の社会復帰のリハビリ場として、利用されている。
その他にも退職後の高齢者や主婦、国際問題に関心のある学生たちなど様々な世代がお客、時にはボランティアとして地域のCSに関わっている。
店内の様子
419号(2017/07/10発行)14面