名古屋で高い知名度を誇る質店の内のひとつが、質や鈴木(愛知県名古屋市)。同業者からも力のある店として名前を挙げられる。創業80年の同社3代目の鈴木社長は「それまでのやり方を引きずらない」ことがその秘訣だと話す。
−−質店は看板を下ろすところも増えていますが、質や鈴木の元気の秘訣は何でしょうか。
情報を仕入れて時代の流れに乗ることだと思います。庶民金融といわれていた質店は、かつて消費者金融が出てきた頃に勢いを無くしたことがあります。しかし、ブランド品ブームがきて東京の質店さん中心に「ブランド品を扱おう」「鑑定を勉強して共有しよう」という動きが起こって盛り返した。今がんばっているところは、それまでのやり方を引きずらずにこの流れに乗ったところ。当社もそうです。
「質や鈴木」 鈴木浩二代表取締役
質に改めて力を入れたい
−−その意味で、今力を入れていることは。
模索中ですが、遺品整理は注目しています。すでに着手している質店もありますね。それと、新しいことではありませんが、改めて「質」に力を入れたいと思っています。
質は、買取りにはできない根強い3つの需要に応えることができる。ひとつは思い入れがあるものを、手放すことなくすぐにお金が借りられること。次が、その商品を気に入っている場合。買取に出して買い戻すよりも、質で預けた方がお得。最後が、経営者が自分の時計や宝石をつかって、資金繰りに使いたいというケース。当社は今、年商約6億円の内、6割が質事業によるものです。
−−どのように質を強化しますか。
来店客にはまず「預かりですか?買取ですか?」と必ず聞くようにしています。質を知らないお客さんは「預かりって何ですか?」と聞くので、丁寧に質システムを解説しています。当社単体でももちろんのこと、参加する組合でもPRには力を入れています。
また、今後の展開としてリユース店を模範にサービス向上・接客力向上を図るつもりです。質店の方が歴史があるといってリユース店のことを見ない所もありますが、リユース店には学べるところがあると思っています。
質や鈴木の広告を入れた車。お客の送迎時や出張の時にも宣伝を行う。
424号(2017/09/25発行)12面