安尾京栄堂(京都府京都市)は御所南寺町美術通りに3代続く骨董・古美術店だ。安尾栄介店主は20代から約30年にわたり、骨董の宝庫である京都で鑑定・買取りを行なってきた。
若い頃は顧客に教え受け
40代で信頼される鑑定士に
安尾京栄堂
安尾栄介店主
略歴
安尾京栄堂の3代目。30年弱の鑑定歴を持ち、年間200件から300件の買取りを行なっている。明治時代の焼き物を得意とし、『親身に話を聞いてくれる町医者』のような鑑定士を目指している。『寺町美術まつり』会長を務め、親しみやすい骨董街を目指し活動している
骨董・古美術は奥の深い世界で、一人前の鑑定士になるには長い修行期間が必要だ。安尾京栄堂の安尾栄介店主は、若い頃は顧客とともに美術館に行ったり、家に呼ばれて道具を見せてもらうなどして教えを受けた。
「昨今はその当時のお客様のご子息様より、本人が施設に入るのでと査定を依頼されることが多いですね。商談の成立は信頼関係で決まります。30代半ばまでは知識はあっても説得力がなかった。40代に入って経験値が積み上がり、やっとお客様に信頼いただける鑑定士になれたと感じています」と安尾店主。
京都にはお宝が多く眠っている。先日行った出張買取では、未使用の贈答品だと言って出された桐箱の中に北大路魯山人の焼き物が入っていた。依頼者は骨董に興味はなかったが、作家や時代背景、なぜその査定額になったのかを丁寧に説明した上で成約となった。
第601号(2025/02/10発行)27面