中古で会員や顧客を持つ企業のセカンダリマネタイズを
三越伊勢丹グループの子会社が、リユース系ベンチャーと業務資本提携を発表し注目を集めた。その出資先が高級ブランドの委託・買取WEBサービス「リクロ」を運営するアクティブソナー(東京都港区)だ。同社は会員や顧客を抱える企業に向けて、中古をつかった「セカンダリマネタイズ」を提案している。青木康時社長に詳しく聞いた。
アクティブソナー 青木康時社長
――三越伊勢丹イノベーションズとの資本提携を発表しました。これから業務提携も行うとか。ブックオフが子会社のハグオールを三越の中に出店していますが、百貨店側が主体としてリユース企業と組むのは珍しい事例ではないでしょうか。どのように実現を?
当社がネット上で運営する中古ブランド品の委託・買取りサービス「リクロ」は、去年秋からエニグモが運営するバイマなど他社のリユース事業化を一緒にやってきました。何がニーズとしてはまったかというと、会員や顧客を大量に持っている企業が販売した商品を中古で預って販売することで、セカンダリマネタイズをしてもらう。出品とか面倒なバックヤードはうちがやって、先方は中古の新サービスがすぐに立ち上げられるという点です。
百貨店業界は外国人の爆買いが終わり、日本人の消費も自然には上がっていきづらいという状況です。しかし良質な店舗と良質な顧客を持っている。これをリユースで再活用するのはどうか。ということで、新しいチャレンジとして三越伊勢丹の投資子会社がベンチャーの当社と組んでくれることになりました。
百貨店のお客さんの買い物予算増やす
――三越伊勢丹とは、具体的にどんな協業をするのですか。
まずは、エムアイカードという購入客の半数以上がつかっている会員カードの利用者を対象に、ブランド品を出品していただく。そして会員のポイントや買い物の予算を増やしてあげる事が、リクロの役割になると考えています。百貨店の売り上げにつながるように考えていきたいと思います。
――百貨店には、有名ブランドがテナントで入っています。リユース事業が展開されることに抵抗はないんでしょうか。
テナントの妨げになるようなことをするつもりはありません。お客さんに商品券を配っているのと同じと考えてもらえればいいかもしれない。
もっと新しい商品を買って欲しいといってもお客さんはもうキツキツ。リユースで売って還元して、お客さんを元気にしてテナントにお客さんをかえすつもりです。サービスは順次準備していて、百貨店の館の中でもやれればと考えています。総合的なやり方を企画していけたらいいと思っています。
アライアンスで着荷商品10倍に
――アクティブソナーとしても、百貨店をはじめとした会員を抱える企業と組むことで、商品集めができるわけですよね。バイマと組んだのは昨年11月末のことでした。実際に、集まってくる商品は増えましたか?
この9ヵ月で、着荷商品数は約10倍。販売個数は約3倍に増えました。これからもアライアンスは強化していきたいですね。
広告費をかけて商品を集めていたこともありますが、広告のみで集客しても広告で打ち負かされるので賢くないと気付いたんです。
会員がいるところとコラボすればいい。そうすればコラボ先が訴求して商品を集めてくれる。だから自社の会員数は増えなくていい。結論としてモノが増えればいい。よく見ると、リクロがやってるんだねというのでいいんです。コラボ先にとって使い勝手のいい企業になります。
会社名 株式会社アクティブソナー(ActiveSONAR.Inc)
代表者 代表取締役社長 青木康時
設 立 2012年11月
本 社 〒105-0014東京都港区芝1-9-3 芝マツラビル2F
資本金 401,400,000円
社長プロフィール
1977年生まれ、岐阜県出身。愛知大学経営学部卒業後、20代前半は芸能活動をしていた。2004年2月に仲間と共に携帯電話・通信機器などの営業会社を立ち上げ、5年で年商50億円に育てる。2008年9月にウォーターサーバー事業を行うウォーターダイレクト入社。営業部長として3年で年商30億円に導く。2010年4月には同じくウォーターサーバー事業のファインスプリングスを設立。創業2年で年商40億円に。2012年11月にイーコマース事業を行うアクティブソナーを設立。代表取締役社長に就任し、ハイブランドの委託販売サービス「リクロ」の運営を開始した。趣味はゴルフとトレーニング。最近記憶に残っている本は「HardThings」、最も多く読んでいる本は「マネー・ボール」。
404号(2016/11/25発行)9面