アートをシェアするサービスが話題だ。運営するARTSTAND(東京都品川区)は2015年11月に設立。寺田倉庫と、クリエイターやアーティストのマネジメント等を行う企業モーフィングのジョイントベンチャーだ。
アーティスト500名、6000点が登録
ARTSTANDは、クリエイターやアーティスト、美大生から預かったアート作品を法人や個人にレンタルするサービス。レンタルするのは、販売価格数万〜20万円のものがボリュームゾーン。法人向けの場合、販売価格の2割程の月額で貸し出す。現在500名のアーティストが登録し、6000点のアイテムを扱う。
同社の公式HP。様々なアートが出品されている
ユーザーは法人が多い。パルコなど商業施設や、モデルルーム、ホテル、企業の会議室など。「季節やインテリアに合わせ変えられる点が重宝されています」(加藤晃央代表)。
昨年10月からはその中でも特にニーズの高い、医療業界向けサービス『DRESS』を開始。医療白衣などを扱うクラシコと協業する。
「業界によって、アートに求められるニーズが違うことがわかりました。各業界に強い企業とタッグを組み、より質の高いサービスを提供したい」
アートの効果やアドバイスを行える資格『アートライフスタイリスト』監修の元、それぞれのアートをカテゴリ分け。ユーザーが40問のアンケートに答えると、要望に近い作品を提案する。
「例えば小児科には子ども受けする動物の絵、美容系の科ではスタイリッシュなもの。癒しが欲しい場合はこんなタイプの絵など、求めるものに近いものを案内できます」。
医療業界では「ヒーリングの為アートを取入れたいが、どこでどんなものを買えばいいか分からない」という意見が多かった。そのため、「効果を明確に提示することで、理系タイプのお医者さんたちにもすんなり分かってもらえるんです」。
一方個人からのニーズも上がってきている。特に目立つのが若者。個人向けには月額1980円〜レンタルできるプランもリリースした。「若者を中心に、生活をより良くするために取り入れたいという動きがあるようです。まずはレンタルで始めることで、ハードルも下げられているんでしょう」
「芸術の銀行」を意識
アーティストにもメリット
このレンタルサービスは、アーティスト側にとってもメリットが複数ある。
「アーティストにとって課題だったのが、作品を保管しておく場所でした。このサービスでは保管に加え、レンタル・販売もできる。作品を眠らせているだけのもったいない状態を防げるんです」
販売では1回きりだがレンタル毎に手数料が発生するため、作品を手放すこと無く継続して報酬を得ることも可能。
408号(2017/01/25発行)6面