《世界の中古市場》
日本ではほとんど見かけない意外な設備・建材を売る店がアメリカにはある。シアトルに6400平米もの大型ショップを構える「second use materials(セカンドユースマテリアルズ)」は、解体現場から持ってきた「中古」の設備・建材を売るリユースショップだ。
ユーズドのドアは人気商品の一つ。割安かつ「味」のある感じが好まれる
「ここにどれだけの商品があるかって?到底数え切れないよ」。こう話すのは共同経営者のマイケル・アームストロング氏だ。同社では店内と屋外のスペースを使って、中古の建材・設備を販売している。商品点数は「2500点まではリストがあるけど、さらに数千点は在庫があると思うよ」
取扱アイテムは「住宅を構成する全てのもの」。実際、店内にはキッチンキャビネットはもちろん、天板やシンクも数えきれないほど並ぶ。浴槽やトイレ、洗面化粧台などの水回りも売られている。それ以外にも、窓、ドア、床材、レンガ、ガラスブロック、照明、家具とほぼ全ての部材が揃う中でも売れ行きが良いのは「キッチン、ドア、そして窓」だそう。
トイレも販売されている。汚れがなく奇麗なものが多い
価格は新品の10分の1
「リフォームの部材として買っていく人、DIYする人、プロも来ます。なぜ新品ではなくて中古を選ぶのか。その大きな理由は改修コストを節約するためですね」。例えばキッチンの場合、新品なら2万ドル(約215万円)かかるが、中古であれば10分の1で買える。
ただし、割安さだけが人気の理由ではない。「ここにしかない一品ものが買えることもそのひとつ。人気バンドのメンバーが住んでいた家の部材が売りに出されていたこともある」。シアトルでは古い住宅の方が価値が高いものと考える人が少なくなく、新品よりも時間を経た「味のある」部材をあえて使いたいところがあるという。
キッチンやキャビネット売り場。新品の10分の1で買えるものも
解体する家を「寄付」
これらの商材をどのように集めるのか。まず1つ目が「家を解体するので寄付します」というケース。「例えばハビタットというNPOから解体される家の情報をもらっています」。2つ目は解体業者経由で解体情報を提供してもらう。「リユースするための権利を購入して、仕入れてきます」。3つ目はホームオーナーやプロからの直接持ち込み。
「1日120くらい値付けして売り場に出します。2週間でその半分が売れますが、残り半分は値下げして売ります」
浴槽を持ち帰る女性
会 社 名 SecondUse,Inc.
設 立 1994
www.seconduse.com
408号(2017/01/25発行)13面