第59回 2017年の中古ケータイ業界を大胆予想②
下取り金額に総務省がメス
今年業界に大きく影響を与えそうな3つの因子「A SIMロック解除、B下取り金額、C円安」。前回のAに続き今回はBとCについて大胆予想します。
B 下取り金額
キャリアの下取金額に対してもメスが入ります。総務省が1月10日に発表した「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」の改正内「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」によると以下の様になります。
①フィーチャーフォン(3G)からスマートフォン(LTE)への事業者間での移行促進(自社内の移行と同等に)
②通信契約奨励金の臨時増額(1月未満の期間限定)による実質的な端末購入補助の適正化
③端末購入者に求める合理的な額の負担の明確化(2年前の同型機種の下取り価格以上)
【適用時期】①②関係:平成29年2月1日〜③関係:平成29年6月1日以降新たに発売される端末〜
●②により下取金額をキャッシュバックに置き換えて、過剰な金額を奨励金として渡すのを指摘。ショップや併売店、量販店などから一般消費者にキャッシュバック金額が少なくなることは、販売が停滞し、その結果、新品端末が私たちの業界に入ってこなくなります。これによって私の知る限り数十社以上が倒産もしくは業種転換、事業撤退を余儀なくされています。今年は昨年以上に規制が入るため、さらにiPhoneを含めた新品端末の入手が困難になることが予想されます。
●③は少し難しいので、例を設けてわかりやすく説明します。
今年の6月以降に発売される新iPhone(仮にiPhone8としましょう)は、その時に2年前になるiPhone6Sが比較対象になります。これまでは、新iPhoneは販促のために実質負担金額は最低容量の端末が0円になっていました。それが「iPhone8実質負担>iPhone6S下取り」にしなければならないと言っているわけです。
といっても、キャリア側としては販促のために、iPhone 8の実質負担金を減らしたいわけです。現状、中古業者の買取金額は「iPhone6S下取り>業者買取金額」です。これを加味するとキャリアのシナリオは以下の2つ。
シナリオA:iPhone8を売りたいので、実質負担金を下げる為に6S下取り価格も下げる「iPhone6S下取り<業者買取金額」⇒こうなると、私たちの業界に2次流通でかなりの量が入ってくる可能性があります。
シナリオB:下取りを強化したい又は他のキャンペーンで実質負担を感じなくする「iPhone6S下取り>業者買取金額」⇒これまでと同じ関係になり、私たちにとってうまみはありません。
この他のキャンペーンは総務省も想定しているそうなので、キャリア側としては現実的にシナリオAしか取れないと考えるのが妥当です。私達の業界市場規模が急拡大するかどうかの転換点になるかもしれません。
C 円安
円安になると輸出に影響が出て、国内流通した方が輸出よりも利益のうまみが出ます。これまでの経験上、その分岐点は1$100円〜105円くらいでしょう。円安に関しては、私達がなんとかできる内容でもないので、その場その場で輸出か国内か方針を見直す必要がありそうです。携帯市場
粟津 浜一 代表取締役
<Profile>
1979年12月岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院修士課程修了。ブラザー工業株式会社を経て、2009年株式会社アワーズを設立、社長に就任。中古携帯市場動向セミナーを数回開催。これまでに500以上店舗に中古携帯事業を展開、コンサルを行っている。
411号(2017/03/10発行)8面