第52回後編 総務省タスクフォースの影響⑤ ビジネスモデルの転換
シリーズ5回目は、タスクフォース(インセンティブ適正化や実質0円禁止など)の影響を受け、私たちリサイクルショップはどうすればいいか?を私なりの見解で述べます。
私たちリサイクルショップが取るべき戦略は、ズバリ「ビジネスモデルの転換」です。
これまでほとんどの業者が海外で販売する外国人バイヤーが多い事から、比較的新しいスマートフォン(表参照) しか買取りしていませんでした。これらの機種は売れやすく、ヤフオク!上で取引件数が多く販売金額も高く取引されています。
・iPhone ・サムスン(GALAXYシリーズ)
・iPad ・ソニー(XPERIAシリーズ)
これらの入手先は、ほとんど転売師です。しかし、これが現状非常にまずいことになっています。といいますのも、インセンティブ適正化や実質0円禁止などの影響で、転売師は絶滅寸前に追い込まれており(詳しくはシリーズ第3回をご覧下さい)、今までと同じ量を買取りするのは困難な状況です。
どんな機種でも買取り 高く販売する戦略を考える
そこで、「ビジネスモデルの転換」です。これからはどんな機種でも買取りするのがおススメです。
しかし言うのは簡単ですが、実際実行は難しいです。なぜなら上記表のような販売需要のある人気機種と同じくらい、これから買取る対象機種の販売需要も高める必要があるからです。つまり、「どんな機種でも買取する=どんな機種でも高く販売する」事です。
その為に以下A~Dの4つの戦術が考えられます。
A:どんな機種でも売れるサイト作る(自社サイトかショッピングモールに出品する)
B:ヤフオク!で販売する
C:どんな機種でも売れる業者を見つける
D:どんな機種でも売れる自店売場を作る
この4つのうち1つを選択するか、複数選択するか、あるいは全て行うのかは、各店舗の販売戦略による部分が大きいです。弊社の取引先では以下の様な例があります。
例1 DのちB (自店舗で販売し、売れ残ったものをサイトで売る)
例2 AとDのちB (サイトと店舗と同時出品し、売れ残ったものをヤフオク!に販売する)
通常、店舗は利益最大化を最大の目的とするためDを選択しますよね。キャッシュフローを優先するならC、在庫処分ならBという感じでしょうか。しかし、ほとんどの機種ラインナップをしっかりした金額で買ってくれる業者は、アワーズも含めて数社もないでしょう。
正直手っ取り早いのはBです。ただ、利益率が4つの中で一番低いのが問題です。利益が少ないと買取金額に競争力がありません。一方Aはサイト構築からSEO対策など一番手間がかかります。
これらを考慮すると、Dの売場を整備することが先決だと思います。
当社では売場を作る前に、商圏内の客層を把握し、スタッフで話し合って「ペルソナ化」いわゆる架空の顧客をイメージします。
次回はこの「ペルソナ」から話を進めていきます。
株式会社アワーズ
粟津 浜一 代表取締役
<Profile>
1979年12月岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院修士課程修了。ブラザー工業株式会社を経て、2009年株式会社アワーズを設立、社長に就任。中古携帯市場動向セミナーを数回開催。これまでに500以上店舗に中古携帯事業を展開、コンサルを行っている。
395号(2016/07/10発行)8面