なぜ売れる? 研究
美肌に見えるアンティーク
今やエイジングも加工によって工場でつくれてしまう時代だが、「本物のアンティーク」をカフェや結婚式場、アパレル店などがこぞって買い求めている。創業27年のパディントンホームデコレーション(千葉県松戸市)に、人気の理由を聞いてみた。
パディントンホームデコレーションのショールーム
パディントンホームデコレーションは、カフェのオーナーや店舗プロデューサー、建築士などから支持されている店。フランスを中心に海外で仕入れられたアンティーク家具や建具を低価格で販売している。
古材コーディネーターの嶌根淳子氏によると、最先端のスポットにはアンティークが置かれていると言う。
「美しい人は、自分を美しく見せる場所に行ってSNS用の写真を撮影する。美女と野獣じゃないですけど、朽ちたシャビーシックな空間の中に美女を置くと、肌がきれいに見えて美しさも引き立てられるんです。その空間をつくるのがアンティークのキャビネットやテーブル、ドアなど」
カフェやアパレル店等もそれを分かっていて、アンティークを店づくりに使う。人間だけではない。朽ちた天板に料理を乗せれば、それだけで奥行きのある雰囲気が演出できる。インスタにはもってこいだ。
美肌に見える店は口コミで賑わう
もともと嶌根氏は大手菓子メーカーで健康食品のパッケージデザインやプロモーションを手がけていた。体の美の創造のセールスプロモーションを行っていた時に、「スタイリッシュな空間に美しい人がいたら美しいが、〝汚い所〟に入れるともっと美しく見える」ということに気づいた。当時、アンティーク家具を売っている所は少なかったため、自身で専門店を立ち上げた。
アンティーク効果で美肌に写真が撮れたり、料理がおいしそうにおしゃれに見えれば、ネットの口コミで広がり瞬く間に予約がとれない人気店になることもあると話す。
豊富なアンティーク家具・建具
本物だけが出せる独特の「うるみ」
アンティーク〝風〟の家具や建具を売る店もあるが、消費者は目が肥えていて、本物のある店の方を選ぶと言う。例えば古いガラスは気泡が入っていて光を当てると独特のうるみが出てくるが、真似た新品にはそれを再現することができない。「生産することができないもの。カビや苔や錆なども逆にかっこいいんです」
423号(2017/09/10発行)8面