第67回 携帯電話修理の現状③
修理事業一本ではコスト高だが
3回目の今回は、iPhone修理事業への参入についてです。まずは収支からご説明します。
9月に総務省の第三者修理登録事業者になったマッチングワールド社が公表している収支モデルを見てみましょう(下表)。
インショップ想定のため、賃料・光熱費や人件費が関係なく、営業利益率38.4%。非常に魅力ある数字になっています。しかし逆の見方をすると、修理事業一本のお店は収益的に厳しいです。
とはいえ、既存事業にプラスする分には利益が出る可能性があるため、新しい柱を探されている会社様は、新規事業として検討されてもいいと思います。
このようにマーケットの拡張性があり、インショップでは事業性がありそうな修理事業です。それでは、参入時に第三者修理登録した方がいいのでしょうか?
事業者の観点で以下にメリット・デメリットをまとめました。
メリット
●エンドユーザーへの安心感が提供できる
●オペレーションすべてを見直すため、業務体制が強化される
デメリット
●コストがかかる
イニシャル:1機種50~100万円、
ランニングコスト:1機種20万円以上
現状では、第三者修理制度自体の認知度が低いため、登録後に即収益アップにつながるか疑問が残ります。
ただ、将来的な制度の認知度増加と会社自体の信用性を考えると登録された方がいいでしょう。
しかし、デメリットに書いたように、それなりのコストがかかります。1機種ごとにかかるため、1店舗のみでの登録はハードルが高いです。最近では、登録修理事業者のFC傘下に入る方法もあります。
それでは単独店かFCに加盟するか、次回はこの件について詳しく解説します。
携帯市場
粟津 浜一 代表取締役
<Profile>
1979年12月岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院修士課程修了。ブラザー工業株式会社を経て、2009年株式会社アワーズを設立、2017年に株式会社携帯市場へ社名変更。中古携帯市場動向セミナーを数回開催。これまでに500以上店舗に中古携帯事業を展開、コンサルを行っている。
427号(2017/11/10発行)5面