【富岡開発】 甲南チケット買収、オリコ子会社から株式譲受
2018年07月29日
▲甲南チケット新宿思い出横丁店
金券ショップ等を展開する富岡開発(長野県松本市)は6月29日、有力金券ショップの甲南チケット(大阪府大阪市)を買収した。
買収価格は非公開。オリエントコーポレーション子会社のオートリから株式譲渡を受け100%子会社化。同社では金券業界の再編に備え、積極的に仕掛けていく考えだ。
「昼特きっぷ」廃止で再編加速
甲南チケットは、神戸市東灘区で平成元年に創業。関西を中心に35店舗(関西32店舗・関東3店舗)を展開。2018年3月期の売上高は197・7億円と金券ショップの有力企業だ。
2007年にM&Aによりオリコの孫会社となっていた。
一方、富岡開発は「マルトクチケット」等の屋号で金券ショップを展開。東京で6店舗、その他FCで3店舗を運営する。
売上高は69億円でその内51億円を金券事業が占める。2010年に同社が金券事業を始める際に、甲南チケットから関東の4店舗を譲り受けた。
その後も甲南チケットの屋号で展開していたが、2015年に業務提携期間が終了。マルトクチケットに屋号を変更し独自の展開を進めてきた。
オリコ側の売却理由は定かではないが、関西で人気のJR西日本の「昼間特割きっぷ(通称:昼特きっぷ)」が今年9月30日で発売を終了することが背景にありそうだ。
これは利用時間が限定される代わりに割安で利用できる回数券。阪急電鉄でもきっぷ式回数券の発売を同日に終了することになっている。
これらは高い割引率から関西の金券ショップでは人気の商品。そのため、発売終了は金券店にとって大きな打撃と言われている。
甲南チケットの新社長に就任した富岡開発の藤巻好仁専務は「金券・チケットは根強い需要があり、まだまだ戦える。両社によるシナジーを生み出していきたい。例えば、JR東日本の株主優待券は、関西では安く買え、関東では高く売れる。地域差の活用やそれぞれの持つ仕入れ網、情報網の活用などもある。生き残りをかけてやっていきたい」と勝算を話す。
▲富岡開発 藤巻好仁専務
今後も屋号はそれぞれを維持し、拠点の拡大にも意欲的な考えだ。
金券市場は、チケットレス化の流れから縮小トレンドにある。
そのため、他商材の買取や外貨両替などの新規事業に取り組む企業が増えている。
航空券の比較予約サイト「スカイチケット」を運営するアドベンチャーが今年1月に有力金券ショップ「J・マーケット」を展開するコスミック流通産業を買収する等、業界再編の動きが加速していきそうだ。
第444号(2018/07/25発行)1面