勝負どころは価格だけではない。社長や社員をキャラ化することで、個性を出す店も。お客の心を掴むきっかけになったり、中にはマスコミに引っ張りだこになり宣伝効果を生んだ企業も。キャラ化は、様々なビジネスチャンスを秘めているようだ。
のぶちゃんマンでTV引っ張りだこ
社長自らがキャラクターに扮しているのが、貴金属買取のゴールドラッシュなどを運営するのぶちゃんマン(京都府京都市)だ。同社のキャラへの思いは熱く、キャラ名を社名に採用するまで。
のぶちゃんマンは、海賊。世界中から宝物(商品)を集めて、店に並べるというコンセプトだ。
誕生のきっかけは、主力商材である家具の売上げが落ち込んだこと。TVショッピングに、滝下信夫社長が女装をして出演したところ、注文電話が殺到した。「商品を売るには価格や品質などももちろん大切。しかしそれと同じくらい、ノリや勢いも大切だと気付きました」。
その後ピーターパンなどの仮装を経てたどり着いたのが、オリジナルキャラ『のぶちゃんマン』だ。
初期の頃は、のぶちゃんマン(社長) 自ら店頭に立ち人気を集めた
のぶちゃんマンに扮した滝下社長が店頭に立ったところ、瞬く間にマスコミにひっぱりだこになった。「サンジャポ」や「ぐるナイ」など数々の有名番組に取り上げられた。これらが絶大な広告となり、売上は3億円から一気に30億円へ。「自ら費用を出す自社広告と違い、パブリックなものの信用性、話題性は桁違いですね」。
キャラクターを生むことは、一発逆転の可能性を手にすること。「キャラは一発どこかで火を噴くと、実力以上のものを生むかもしれない。のぶちゃんマンのブランド力は、我が社の財産」。
滝下社長はのぶちゃんマンのことを「自分自身」、会社にとっては「理念の象徴」だと話す。「勝ったら喜び、負けたら下を向く。それでも諦めず進んでいくのが、のぶちゃんマンなんです」。社長自身が広告塔に扮することで、広告費を浮かせるだけでなく、その精神を社員たちとも共有しているのだ。
384号(2016/01/25発行) 6面