《ブランド市場バイヤーに学べ22》「一発ヤリ」で損して得とれ

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「ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!」

《ブランド市場バイヤーに学べ22》「一発ヤリ」で損して得とれ

2016年06月25日

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ブランド市場バイヤー 齋藤清の俺に学べ!

第22回 得する好印象バイヤー&セラー

「一発ヤリ」で損して得とれ

ネットショッピングやネットオークションといったEコマースを手軽に活用できるようになった現代で、なおも古物市場は活況を呈していますね。それは非対面の取引とは一味違う、生の人間同士のビジネスならではの魅力があるからではないでしょうか。

全国どこでもモノの相場は共有されている今、そうした人間味の部分が市場での売り買いの結果に影響してくると思います。今回はバイヤー(買い手)、セラー(売り手)とも、市場に参加される際の心配りやマナーについてお話します。

突然ですが、バイヤーの皆さんは競りで欲しい商品があったとき、競合が何人もいたらどうしますか?なるべく安く買いたいのは皆同じですから、相手の出方を見ながら競り上がりで様子を見る・・・そういう方も多いかもしれません。ですが、私のおすすめは、他の人より多少値段が高くても「一発ヤリ」で落札することです。

これにはもちろん理由があって、会主からしてみれば、小幅な競り上がりが続くよりもスパッと落札してもらう方が当然ありがたいもの。そういう買い方をしてくれるバイヤーさんには会主も気を利かせて、例えば他の競りで相ヤリ(複数の買い手から同じ値段で声が上がること) になったとき、その商品を譲ってもらえたりすることがあります。結果的に、一発ヤリで多少高く買ったとしても他の面で優遇されますから「損して得をとった」といえます。

競り上がりで小幅に(あるいは前の金額にちょい乗せして) 競っていくのは周囲から快く思われない上、ヒートアップすることで予算オーバーして却って高い金額で買ってしまったら目もあてられません。結果的に一発で買った方が安上がりになることだってあります。また、一発で落札していく様は見ていて気持ちがいいもの。他の買い手さんからの印象も自然と良くなりますね。

セラーの皆さんは、出品される際にちょっとした心配りをするだけで、会主側の印象はグッと良くなります。例えば、集荷期間内のできるだけ早い時期に出品物を送る、抜けもれのない丁寧な出品リストを添える、などです。出品物を送った後に、一本連絡を入れてあげたらなおグッド。そこまでしてくれる売り手さんは、会主もできるだけ高く売ってあげたいと思うものです。

また以前にもお伝えしましたが、早く届いた商品から、優先的に若い箱番号=高く売れる確率が高い箱番号を与えられやすいですから、その点でもおすすめです。

ひとつ注意しておきたいのは、出品物のコンディションや欠品などの不具合は必ず詳細に記載しておきましょう。それらの情報を省いてしまうと、後々トラブルの種になります。

もし競りにかけられて一時的に落札されたとしても、その後に不具合が判明し、振り直されれば当然最初の落札値よりダウンします。初めから不具合品と分かっていた場合と比べてネガティブな印象を持たれがちですから、余計に値が上がりにくいといえます。

また万が一、大会終了後に不具合が発覚して値段交渉が発生するとお金も手間もかかりますから、出品リストには出品物の正確な情報を記すように心掛けるのが吉といえそうです。

「面倒だなぁ」と感じる点もあるかもしれませんが、マナーに気を配ることで良いものが安く買えたり、あるいは高く売れたりすることがあります。好印象バイヤー/セラーを心掛けると、市場がもっと楽しくなると思いますよ!

アールケイエンタープライズ 齋藤清齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長

Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。

394号(2016/06/25発行)17面

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