18、19歳への買取対応慎重に 4月より成年年齢引き下げ
2022年03月18日
4月からの成年年齢引き下げにより、18、19歳の顧客と単独で買取契約が結びやすくなる。民法の「未成年者取消権」が適用されなくなるためだ。とは言え、「親の目を盗み勝手に持ち出したモノ」など、それを買い取ってしまうことでトラブルになるリスクがつきまとうことに変わりはない。これまで通り「保護者の同意必須」や「買取りに応じない」とする事業者もおり、慎重さがうかがえる。
年齢 | 現在 | 4月以降 |
---|---|---|
20歳以上 | 〇 | 〇 |
18、19歳 | △ (本人名義での単独契約により買い受けて構わないが、保護者の同意なく契約した場合には、「未成年者取消権」により契約を破棄できる) |
〇 (「未成年者取消権」が適用されないため、本人名義での単独契約により買い受けても問題ない) |
17歳以下 | × (青少年条例により、青少年[17歳以下]から買い受けてはならないとしている都道府県がほとんど) ※「古物営業法」では買取りの対象年齢について述べてはいないため、あくまで各都道府県の青少年条例での解釈による |
岡山のある買取店にエルメスの「ケリー」を持ち込んだ20代男性。「片付けていたら、部屋の中から出てきて...」。当時バイヤーとして駆け出しだった同店従業員は、何の躊躇いもなく買取りに応じた。すると後日、「息子が勝手に自分のモノを持ち出した」と、男性の母親が取り返しに来店。売却前だったためケリーを返すと、母親は陳謝した。その後、一緒に連れて来させた息子(男性)に店内でビンタを食らわせたのだった。同従業員はこれを機に、買取商談の際にお客が挙動不審でないかをより慎重に見るようになった。
この実話のように、成年者から買い取る場合にも、持ち込まれた物品が買取利用者本人の所有物でないことがあり得る。盗難品や偽造品を流通させないために古物営業法では買取利用者から本人確認を行うことを定めているのは言うまでもないが、店頭買取では特にバイヤーによる人の見極めが重要になる。
古物営業法に詳しい新田・天野法律事務所の新田真之介弁護士は、「買取りの申込書に、本人の所有物に間違いがないかを確かめる項目を設け、適切な対策を講じることが望ましい」と話す。具体例として、買取希望物品について「いつ頃購入したか」「どこで購入したか」「いくらくらいで購入したか」「譲り受けた場合は誰からか」を問い、自筆させる項目を申込書に盛り込むのが良いという。
第531号(2022/3/10発行)28面