中古農機流通の今 国内縮小傾向により海外輸出が加速
2024年09月10日
中古農機の国内流通が縮小傾向にある。離農が増え買取りが集まる一方、販売先が減っている。新たな販路として、焦点を当てられているのが「海外」だ。欧州でも売れ始め、小型の需要が高まるなど、ニーズに変化も起き海外で二次流通が加速している。中古農機を扱う企業に動向を聞いた。
欧州も日本の中古農機に注目
農業従事者が毎年減
離農時の買取り増加
マーケットエンタープライズが茨城のヤードに並べている農機
日本農業機械化協会によると、国内の農機全販売台数における中古販売率が、トラクター、田植え機、コンバイン共に、2021年は前年比減となっている。トラクターは2017年から毎年減少し、2021年の中古販売率が27.4%に。1987年の調査開始以降初の20%台となった。田植え機は、2021年まで4年連続の前年比減で30.4%。コンバインの2021年は39.6%と8年ぶりの30%台になった。背景には、農家人口の減少がある。農林水産省によると、個人経営の農業を主とする従事者は昨年116万4000人と、2020年から毎年6~8万人ペースで減少が続く。
「農機具王」の屋号で国内で農機の買取りを手掛けるリンク(滋賀県近江八幡市)は、日本の中古農機具市場に危機感を募らせている。同社の2023年度の売上げは前年比16%増の42億5000万円と好調だった。その要因は、買い替えや下取りではなく離農する農家からの買取りが増えているためだという。もう使用しないトラクターやコンバインなど大型機の引き取りが多く、商品単価が上昇。今後販売先である農家が減ると、需給バランスの崩壊が起きかねないと危惧する。
販路を増やすべく、同社では4年前から海外輸出を開始した。輸出業を手掛けていたワールドブリッジ(福岡県北九州市) のM&Aを実施。「農機具王」で買い取った商品をワールドブリッジが輸出。30社ほどと取引を重ねた。年間の売上は3億円ほどと年々伸びているという。
第591号(2024/09/10発行)15面