「サックスの偽物が増えたといってもいいかもしれないー」。こう話すのは、サックスをメインに木管楽器の修理と買取を行う「ミュージック・ポルテ」(千葉県船橋市)の杉本研氏だ。10年以上前は滅多に見なかった偽造メーカーのものと思われるサックスが、5年前から徐々にECやフリマアプリで目にするようになったという。増加が考えられる背景や、真贋鑑定の方法を聞いた。
海外で売買される偽造品が
日本のECにも出品?
(左)ベル部分にメーカー独自の彫刻が彫られているか
(右)メーカーロゴは彫刻ではなく刻印されているか
杉本氏は「そもそも日本は管楽器の偽物が出回りにくかったはずが、変わりつつある」と警戒感を強める。
従来偽物があまり流通していなかった要因として、日本では楽器に触れる機会が多いためと杉本氏は分析する。触れる機会とは、約100万人の人口がいると推計される学校の定番クラブ「吹奏楽部」や、2200会場に及ぶ「ヤマハ音楽教室」だ。これらの存在を通し、店舗で正規品を購入する流れが定着して偽物を買う機会が少ない、また楽器の基礎知識が普及し偽物に気づきやすいと考えられる。
だが世界に視点を広げると、事情は変わる。「日本ほど楽器店が多い国は珍しい。楽器店が少ないエリアで買う方法はネットですし、正規品を見ることが少ないので、偽物に違和感を持たず購入してしまう方もいる」(杉本氏)
第604号(2025/03/25発行)16面