激安古着店「たんぽぽハウス」を16店舗運営するのが、ヴァンベール(東京都中央区)だ。同社は1889年に創業した羽久(同)の子会社という立ち位置になる。どのような経緯で、ヴァンベール及びリユース業の立ち上げに至ったのか。時代の変化に合わせ業態転換してきた136年の歴史を辿っていく。
小間物問屋から新品衣料小売、激安古着へ
1889年に羽久を創業
1976年に子会社で小売
特に売れ行きが好調な上野広小路店。20年以上の歴史がある。3フロア構成で、売り場面積は90坪と広い
羽久は「羽田久之助商店」という名で、明治22年の1889年に産声をあげた。同年は大日本帝国憲法が発布され近代化が進み始めた一方、江戸時代の文化もまだ残っていた時代だ。羽久も、江戸時代に栄えた小間物問屋業で開業した。小間物とは日用品を指し、同社では特に櫛(くし)や簪(かんざし)といったヘアアクセサリーを主力商材としていた。
戦後、小間物問屋業は徐々に陰りが見え始める。巻き返しを図り、化粧品の取り扱いに注力しディスカウントストアに卸しを始めた。だがその後市場で百円ショップが台頭し始め、取引先の開拓に悩んだ。そんな背景を受け1976年、小売部門として子会社のヴァンベールを設立した。
現在羽久とヴァンベールの代表を務める羽田健一郎社長は、3代目にあたる。慶應義塾大学卒業後、5年ほど三越で働いていた羽田社長は1990年代前半に家業を継いだ。
第602号(2025/02/25発行)21面