第9回 高く売れる出品テクニック
これまでバイヤー=買い手としての目線を中心にお伝えしてきましたが、趣向を変えて売り手目線から「市場で高く売るためのコツ」をお話したいと思います。今回お伝えするのは、大会における「出品順のテクニック」です。まず前提として、大会に出品する際はあらかじめ出品リストと呼ばれる用紙に出品物の詳細を書き、商材とともに会主に送る場合がほとんどです(出品リスト1枚につき一箱としてカウントされ、10個まで出品できます)。
出品順で変わる落札価格
大会本番では、この出品リストに書かれた順番に沿ってひとつずつ商材が競りにかけられます。実はこの出品順で、大会当日の競りの盛り上がりが左右されることがあります。以下に、ポイントをまとめました。
①リストの順番は「安い順」か「高い順」で統一
②高単価の商材を一箱にまとめて出品しない
③同一モデルならコンディションが良い方を先に出品
まず①について、出品順を決める際はなるべく一箱の中で落札価格にバラツキが出ないようにすることをオススメします。同じ価格帯の商材が一箱にまとまっていれば気にする必要はありませんが、落札価格に波がある場合、競りのリズムが滞って相場が伸び悩むことがあるためです(例えば、数千円刻みの小幅な競りが終わった直後に、何百万の品物がドンと出ても場が暖まっておらず、勢いを欠いてしまいます)。
一箱の中で価格差がある場合は徐々に高くなっていく末広がりにするか、もしくは初めに高い商材を持ってくれば、最後まで勢いを保ったまま競りが進行することも考えられますから、安い順か高い順、どちらかに統一しましょう。
次に②ですが、出品物が複数箱にまたがる場合、高単価の商材はできるだけそれぞれ別の箱に振り分けましょう。「高単価の商材が続けて出品された方が盛り上がるのでは」と思われるかもしれません。そういった効果が見込める反面、高単価の商材は、競り上がりの最後は大手同士のジリジリとした一騎打ちになる場面も多いもの。そうした緊張が続くと逆に場がダレてトーンダウンしてしまいがち。せっかくの良品が思ったほど高く売れない恐れもあるのです。
最後に③については、コンディションが異なる同一モデルを複数出品する場合は、必ず程度が良い方を先にしましょう(例えばAランクとBランクなら、Aランクを一番、その次にBランクを二番といったように)。
これは相場の値崩れに対する防衛策とでもいうべきもの。Bランクを一番、Aランクを二番とした場合に、時として、直前のBランクの落札価格に引っ張られる形で、Aランクの品物の相場が下がってしまうことがあるのです(汗) 逆にいえばAランクを先に出品しておけば、続くBランクの落札価格が引きあがる可能性もありますよ。
以上、「出品順」に関する3つのテクニックについてお話しました。「相場は生モノ」とよくいわれますが、市場ならではのちょっとした工夫で売値が伸びる可 能性は様々あります。まずはすぐに始められる出品順の検討から、ぜひお試しく ださい。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
368号(2015/05/25発行)13面