固定価格出品は2700万点に
「フリマ」というトレンドキーワードを使い、ヤフオク!が固定価格売買について消費者への再アプローチを始めた。狙いや今後の戦略について、ヤフー(東京都千代田区)のヤフオク!カンパニーヤフオク!ユニットのユニットマネージャー一条裕仁氏と、ヤフオク!カンパニー開発本部の林啓太氏に詳しくインタビューした。
ヤフオク!カンパニー ヤフオク!ユニット ユニマットマネージャーの
一条裕仁氏(右)と、ヤフオク!カンパニー開発本部の林啓太氏
――ヤフオク!がフリマ機能を付けた理由を改めて教えてください。
一条 ヤフオク!は個人間売買のプラットフォームを十数年提供し続けてきましたが、ここ数年はやはり「より手軽に、より気軽に」売買をしたいというニーズが目に見えて増えてきました。
オークションは自分の持っているものの最大限の価値を買い手につけてもらうというところで、売り手にとっては非常にエキサイティングで中毒性のある売り方ではあるものの、その対極に「そんなに値段はつかなくてもいいから気軽に売りたい」というニーズがあった。そこを取りに行かないといけないということで、定額の売買にフォーカスした。
林 フリマサービスに本格的に参入するっていう話は2月2日リリースでパンッと出しましたが、実はその手前から、昨年6月からライトに出品できるワンプライス出品っていうサービス自体は提供していましたね。
一条 そう、あとは、ヤフオク!が始まった直後から、「定額で売る」っていう売り方はずっとあって。なので、新しいものを後追いで出したっていうわけではなく、もともとヤフオク!の中にあった売り方買い方を分かりやすくしたっていうだけなんです。でも、意外とそれってちゃんと伝えないと伝わらないということがワンプライス出品導入の時に分かった。そこで、言葉としても売り方のスタイルとしても今すごく定着しつつある「フリマ」のサービスというところで、言い直してもう一度お客様にアピールした。
林 実はフリマのような買い方ができる商品が、オークション形式よりも玉数としては多く存在しています。トップの検索窓のところで見ると、今フリマの方が2700万点でオークションの方が2400万点になっている。
ヤフオク!全体で1兆円に持っていく
――固定価格のフリマの流通額は、どのくらいまで持っていく計画ですか。
一条 具体的にどのくらいのバランスかっていう数字は出していないですが、感覚としては、争ってでも買いたいとかレアなものとかいうのは、ある程度絞れるのではないかと思っています。ある程度相場が決まっている商品であればどんどん固定価格ですぐ買えるっていう状態に持って行きたい。相場がある商品は待たずにサクッと買えたほうが買い手からすればいい。それは定額の方に寄せていきたい。
――オークションが減ってフリマが増えていくイメージということですか。
一条 より価値のあるものはオークションに寄って行って、相場感のあるものは自然のフリマ形式、定額形式に寄って行くんじゃないかと思います。
――ところで、ヤフオク!全体の流通額が今8000億円くらいだと思いますが、次はどのくらいにする予定ですか。
一条 僕らは早く1兆円に持って行けと言われているので、そこを目指してやっています。ただ、結構なボリュームになってきているので、伸び盛りのサービスと成長率を比べられると辛いところはある。でも、常に2桁成長というところは狙いたいです。
412号(2017/03/25発行)7面