エアクロ、「作り手に還元を」
2017年06月27日
新しいシェアエコモデル提唱
普段着のレンタルサービスエアークローゼット(=エアクロ、東京都港区)が、環境省の第四次循環型社会形成推進基本計画策定に向けた先進的な取組に関するヒアリングで、新しいシェアリングエコノミーのモデルを提唱した。
これまでのシェアエコサービスは、共有のみを行い単にユーザーの消費意識を制限しがちだったとし、「エアクロは、ブランドにとって新しいプロモーション、販売チャネル、顧客との出会いの場ととらえてもらっている」(天沼聰社長)と話した。
また、作り手であるブランド側に、情報を還元する方針だと言う。
エアクロはユーザーがアイテムを返却した後、感想をフィードバックしたデジタルデータを数百万レコード保持する。AIやデータサイエンティストを用い、サイズ分析やファッション傾向の分布を算出している。これらの情報を現在レンタル品として扱う300以上のブランドと共有する意向だ。「データを活用して、ファッション産業に寄与したい」。
アパレル業界は生産の効率化のためにサイズを絞るなどの策を講じているが、「消費者からするとサイズがない、デザインが画一化されているなど良い状況ではない」と話す。「我々のデータをもとに最適な生産をしていただきたい」。
天沼社長によると、アパレルの廃棄量は年間33億枚。最適な生産を行えば、作り手も消費者もメリットを享受しながら、これを削減することができると提案した。
天沼社長はシェア業界の構造にも言及し、「モノのシェアは作り手が疲弊してしまっては、成り立たない。作り手に経済と情報の還元がなければならないと考えている」。
418号(2017/06/25発行)2面