横浜に店舗を構える玉家質店(神奈川県横浜市)。既存のブランディングに囚われない、「アニメ制作」というジャンルで新たな客層をキャッチしようとしている。
前シリーズ好評を受け制作した「たまぽんず」。全6話にかわいらしい動物たちがお客として出演。
くすっと笑える、コミカルな内容になっている
20代〜30代主婦層に響く
−−サラサラのロングヘアがトレードマークの〝まや〟は、玉家質店の看板娘だ。掃除や査定、ブログ更新は彼女の仕事。持ち前の笑顔と明るさで、お客さんからの人気もピカイチだ。
これは玉家質店が制作し、HP上で公開しているアニメ「たましち!」のあらすじ。同店を舞台に、架空のスタッフまやと質店の裏側を明るいタッチで描く。
「質屋って何をしているんだろう、ってことを伝えたかったんです」とスタッフの松永有希也氏。「中高年の方は質屋さんは恥ずかしい、若い方は怖いなんていう先入観を抱きがち。実際当店でも初めてのお客様から、『こんなに入りやすいお店だったら、もっと早く勇気を出してくれば良かった』なんて声もいただけるんです」
同店はクラウドソーシングサービスでクリエイターを募集。約200万円を投資し、4分弱の「たましち!」を制作した。
上がアニメ版の玉家質店の外観。下が実店舗
アニメ見た新規客開拓
特に意識したのは、20代〜30代の主婦層。「怖い、敷居が高い、古い、何をしているのか分からない、こういったイメージを崩す狙いでした」
そのため店の宣伝や現金のやり取りなど生々しさを極力抑え、ストーリー性を持たせるようにした。お客さんとの交流や、そこで生まれる喜びを描いた。
ネット上で公開して以来、新規客の開拓に効果があったと言う。「『アニメを見ました』と来店してくれる方が増えたように思います。当店は7〜8割が質預かり。すぐの集客に繋がらなくとも、お客さんが必要なときに思い出してくれる存在になりたいですね」
「たましち!」主人公のまやが玉家質店で働く様子。内装も忠実に描かれており、リアル感が演出されている
424号(2017/09/25発行)15面