日本の中古品200円で
ブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)が9月30日、子会社を通してマレーシアに2号店をオープンした。1号店の成功で同社の知名度は上がっており、開店2時間前から約200人が行列をつくった。同社にとって同国の店舗は、国内で余った商品の廃棄コストを下げるための「出口」だ。その役割を順調に果たしている。
9月30日にオープンしたJalan Jalan Japan2号店「1 Shamelin Mall」店。首都クアラルンプールのモールの中にある。売場面積は約430坪。アパレル、生活雑貨、ベビー用品、おもちゃ、ホビー、スポーツ用品、楽器、家具、アクセサリーを扱っている
国内の廃棄コスト半減目指す
ブックオフコーポレーションのマレーシアでの歩みは昨年4月、現地に合弁会社を設立したところから始まる。日本国内で余った商品を輸出して、2016年11月に650坪の総合リユース店をオープンした。屋号は、ジャラン・ジャラン・ジャパン(以下、JJJ)。「日本を散歩する」という意味がある。
JJJの商品の平均単価は200円を割る。現地法人の井上徹代表によると、「同じ規模のローカルの総合リユース店はマレーシアにたくさんある」が、これだけ安く販売している所は見かけないと言う。ブックオフは日本で余った商品の出口と考えているため、現地の企業とは値付けの仕方が根本的に違うのだ。
JJJは、「ファミリーストア」を標榜し、古着を中心にスポーツ用品や玩具など幅広い客層を満足させる、多様な中古品を揃えている。狙い通り、家族連れで来店し、お客たちは笑顔でカートいっぱいに商品を積み上げ購入していく。それゆえ商品単価が低いにも関わらず、客単価は2000円ほどになる。
「ブックオフは安くて高回転というのが伝統的なオペレーション。それをマレーシアでもやらない手はない」
現地スタッフが並んで出迎えた
売り切ればこそ買取間口広がる
日本からきた高品質の中古品を売る店として、JJJは徐々に知名度を獲得している。売り場面積430坪の2号店は、初日で1万5000点を販売した。レジ通過客数は約1000人。来店数は3000人以上と見られる。2号店は1号店より売り場面積が小さいが、その初日売上高は、1号店を上回った。特に売れているのがおもちゃで、売上構成比の30%を占める。
これからJJJで最も力を入れたいのは古着だ。日本の店舗からの供給量も多く粗利益率も高い。「ここを強化することが店の利益に直結する。売上構成比の半分まで引き上げたい」と考えている。
ただし、JJJの第一使命は売上利益の拡大ではない。ブックオフが日本で掛けている廃棄コストを減らすのが担う役割だ。「廃棄コストをまず3分の2、そして半分まで減らしたいと思っています」。
売れ残った商品を売り切って利益化できる店舗があればこそ、日本での買取りの間口も広げることができるというのがその理由だ。
ブックオフは、関東の直営店を中心にゴミとして廃棄されてきたものを集め、ヤードで商品価値のあるものを選別。40フィートコンテナで月3〜4本をマレーシアに送っている。
廃棄コストカットの進捗は「きわめて順調」。5年以内には目標の減量を達成する計画だ。
今後は対象領域を関東全域、できれば中京まで広げる。その出口店をマレーシアに2年で5店舗、ゆくゆくは7店〜10店つくりたいと言う。順調に1号店・2号店がキャッシュを生み出しているので、出店に投資できると自信を滲ませる。
オープン前には200名の行列が
品出しスピード十分ではないが...
とは言え、全て順風満帆というわけではない。200円以下の低単価商品を販売しているため、いかに回転させるかが勝負。しかし、きれいにパッケージ化し品出しするスピードが充分であるとは言えない。日本とはワーキングスタイルが違うこともあり、思うようなスピード感はまだ実現できていない。JJJは、ブックオフが日本で展開する大型総合リユース店「ブックオフスーパーバザー」を下敷きにしているが、国が違えば再現も容易ではない。現地でのトレーニングはもちろん、店長候補者は日本で研修させるなどし攻略しようとしている。
狙い通り家族連れのお客が日本の中古品の買い物を楽しんだ
「ワーキングスタイルの違い」
「日本とはワーキングスタイルが違い、ゆっくりしている。商品をどんどん補充していく、高回転で薄利のビジネスモデルのため、現地で採用したスタッフがキビキビ働いてくれるようトレーニングに苦労している。ルールをしっかりつくることと、ビジョンを語って夢を共有することが大事。店長候補は日本で2週間研修した」(井上徹代表)
運営法人
会社名:BOK MARKETING SDN.BHD.
設 立:2016年4月
資本金:RM3,800,000(ブックオフコーポ70%・コイケ15%・KOIKE(M)15%)
代 表:井上徹(Managing Director)
※コイケは国際物流を営み、マレーシア中心に海外投資を行っている
427号(2017/10/25発行)1面