要らないものを売るのは簡単―フリマアプリの登場で消費者は気軽に中古品の売買を行うようになった。昨年後半さらにその傾向に拍車をかけたのが、もっと簡単に現金を受け取れる「即時買取り」のサービスだ。
新しいプラットフォームの登場でリユース人口は増加し、同時にモノに対する見方も変わっている。要らなくなったものは「不要品」から「換金できる資産」に出世を遂げている真っ最中だ。本紙では話題のプラットフォームを運営する5社のキーマンにインタビュー。これから市場がどう変化するか占う。
メルカリ
〝CtoCって信頼できる〟という事が一気に進む
バンク「CASH」
新しい市場に生まれ変わる。二次流通は可能性だらけ
ヤフオク!
ライト層が拡大して、市場全体は引き続き成長
イーベイ・ジャパン
〝越境ECが当たり前〟そのスタート地点に
コメ兵「KANTE」
CtoCは信頼性の担保を、すごく考える1年になる
「売る」はもっと簡単に、もっとカジュアルに
フリマアプリ「メルカリ」のダウンロード数は国内だけで6000万DL。消費者は気軽に中古売買に参加するようになった。参加人口が増えるにつれ、悪用が目立ったのも昨年のトピックだ。現金の出品は記憶に新しい。同社は、すでにマスのサービスになっていると自覚し、今年は「信頼」を重要なテーマとして挙げている。
同じ見方をしているのが、コメ兵だ。同社は昨年11月に鑑定付きのブランド品フリマアプリ「KANTE(カンテ)」をリリースした。ただし、メルカリがテクノロジーで信頼性を担保しようとしているのと違って、「人の目」で鑑定することの重要性を説く。
個人間売買のパイオニア「ヤフオク!」は、フリマ機能を強調して消費者を呼び込んでいる。5200万点の出品数の内、6割がオークションではなく固定価格―つまりフリマ利用となっている。同社は2018年も引き続き市場が拡大すると見ている。
昨年、爆誕した即時買取りの「キャッシュ」。運営するバンクは、DMMの買収案を受け入れて傘下に入り潤沢な資金も手に入れた。不要なアイテムを写真撮影するだけで、先に現金を受け取れるという仕組みで世間を驚かせたが、今年はもっと、「簡単にスピーディーにカジュアルに」モノをカネに変えられる世界をつくると言う。
フリマや即時買取りだけがリユースの流通を変革するわけではない。流通額10兆円のグローバルなマーケットプレイス「イーベイ」。その日本での法人支援を行っているイーベイ・ジャパンは、越境ECが当たり前になるスタートラインに立つだろうと予測する。イーベイは、スマートスピーカーと連動してレコメンデーションをするなど、テクノロジーを駆使したモノとヒトのマッチングを始めた。
431号(2018/1/10発行)1面