Interview
業態増でニーズを細かく深掘り
国内外に156のリユース店を展開するトレジャー・ファクトリー(東京都千代田区)。総合リユースに加え、トレファクスポーツなど業態を7つまで増やし、ニーズを細かく深掘りしている。今後はECの強化を図りながらも、国内外の店舗増と、「コト消費」を実現する店づくりで、リユースの裾野を広げていくと野坂英吾社長は語る。
トレジャー・ファクトリー 野坂英吾社長
−−御社は2月決算ですが、今期は振り返っていかがですか。
リユース業界が改めて注目され、新しい話題に事欠かない1年だったと思います。アプリやインターネットを活用した新しいサービスも生み出され、今までリユースに親しみのない方々も活用する世の中になってきました。新たなニーズが顕在化してきたと思います。
当社もスポーツ・アウトドア業態やアウトレット的な郊外型の業態をつくるなど、今後の成果に繋がる取り組みができたかなと思っています。あとECも強化しています。
−−現在ECでの売上はどれくらいですか。
今期、ECで服飾以外の販売も始めましたが、それまでも服飾中心にグループ全体で約10億円の売上でした。これからもっとアイテム数を伸ばしていきたいです。ECの特性は検索性。物を何か特定して探すという用途には非常に適している。逆にリアル店舗の特徴は、目的なく様々な物に触れたり購入したり、売りもできること。ECへ本格的にアクセルを踏み込むのは来期からと思っていますが、ECと店舗の特性両面を活かしながら、利便性を追及していきたいです。
昨年11月にタイ2号店もう20店展開したい
−−今後の出店計画については。
現在グループ全体で国内に154店、タイに2店あります。今期は、親会社では計画以上の14店を出店。子会社も含めると20店以上出店しています。M&Aも含めて今後も今くらいの年間出店数を、と思っています。国内では関東・関西は増えてきましたが、まだ九州・中部は少ない。今後はそういう地域も伸ばしつつ、他のエリアも出店する機会があればぜひ出していきたいです。
タイには一昨年7月に1号店、昨年11月に2号店を出店しました。それぞれ100〜150坪くらいの店舗です。今後はアジア含めて他の商圏にもぜひ展開していきたいです。
−−なぜタイを選んだのですか。
日本で売れない物を海外に送るという視点ではなく、日本のモデルを展開するのであれば、どこの国が良いだろうかとリサーチしました。国民性や、輸出ができるのか?会社がつくれるのか?など色々な条件を満たしたのがタイでした。少なくとももう10、20店は展開したい。長期的には、100ヵ国くらいは自分たちで展開できる地域を広げたいです。
−−タイではどういう商品が人気ですか。
楽器は日本で販売している価格よりも高く売れる。おそらくタイで売っている楽器が高いので、それとの比較でしょう。あとは自転車も売れるんですが、これは安心・信頼というところで。タイではもっと安い新品自転車がありますが壊れやすい。日本の中古自転車の方が丈夫で長持ちなので、タイの新品よりも高く売れるわけです。日本では月商800万〜1500万円くらいが標準的な店舗です。タイも日本と同レベルにしていきたいので、ゆくゆくは1500万円売れる店にしていきたいです。
実店の業態を分けニーズを細かく深掘り
−−フリマアプリなど新興サービスが勢いを増しています。マーケットはどう変化していくと思いますか。
新しい顧客層が広がってくるのですごく良いことだと思います。「リユースは知っているけど使ったことはない」という人がまだたくさんいらっしゃるので、そういう方々に向けてアプローチをするとリユースの裾野が広がります。まだまだマーケットが拡大していくと思います。ただ、より顧客視点のサービスを店舗でも打ち出していかないといけない。
433号(2018/02/10発行)7面