マーケットエンタープライズ、ネット型総合リユースで年商40億円
2016年03月07日
「面倒な家電で利益出すには?」から組み立てたビジネスモデル
ネットで約40億円の中古品を販売するマーケットエンタープライズ(東京都中央区)。2006年に設立してから、右肩上がりに売上げを伸ばし、昨年6月にはマザーズに上場した。加茂専務へのインタビューと、これまでの取材をもとに、同社の成長の秘訣を探る。
【商品選び】手間・コスト大の家電選んだ
マーケットエンタープライズ(以下、ME)成長の種は、商材選びの時にすでに蒔かれている。目をつけたのは家電など大型で中価格帯の商品。ネット販売するにはコストがかかり利益が出しづらく「人が嫌がるもの」(加茂専務)だった。
同社が創業した当時は、ネット上で流通している中古といえば、高単価なブランド品や時計。そうでなければ、小型でオペレーションのしやすい本やゲームなどの商材が大半だった。ネット販売は出品や発送に手間がかかるからだ。
しかし、MEは「需要はあるがある意味ネット上での評価が低いもの」(加茂専務)を選んだ。商品の流通量は多く、EC上では競争も穏やか。問題は、どう採算をとっていくかだ。
【システム】生産性高めるIT投資
同社は現在28ジャンルの商材を買い取っているが、今でも最も取扱い数の多いカテゴリは家電だ。
取扱いの面倒な家電を中心に総合リユースに着手したMEは、生産性を高めるためIT投資を積極的に行ってきた。
はじめにつくったのは、誰からどんな依頼がきたかという「買取り依頼管理」のシステムだ。今では、DBを元にした査定額算出システムなど「頭からお尻まで全てのシステム」を自社開発している。買取り依頼を受けてから販売するまで、あらゆる箇所を自動化・効率化することでコストを圧縮。単価が高くない商品でも利益を出せるよう体制を変えたのだ。
【買取り】近くのセンターと事前査定
販売はECで行っているが、買取りは地域密着の側面が強い。
ネット型リユース店でありながら、初期の頃から「宅配買取」以外に「出張買取」や「店頭買取」も行ってきた。
同社はリユースセンターを全国7箇所に設置しており、今後も順次拡大していくと加茂専務は話す。家電は大型で送料がかかるため、全国から商品を集めるには東京に一ヵ所大型集中センターがあっても意味がないからだ。
386号(2016/2/25発行)20面