現金持ち帰り制の所謂「現金問屋」。メーカーの過剰在庫などを買取り流通させているが、つくり手の生産が計画的になり、在庫売却の仕方もうまくなったことで次々と数を減らしている。しかしその中で成長を続けるのがアパレル現金問屋の土橋商店(東京都中野区)だ。昨年8月に社長に就任した土橋達也氏に、「直売所」や「古着」への着手など、次々と繰り出すチャレンジについて詳しく聞いた。
土橋商店 土橋達也社長
リユースには可能性を感じる、古着のB to Bでナンバーワン目指す
――昨年末に新古品の小売店をオープンしましたね
ええ、11月に税込500円のワンコインで洋服が買える「土橋商店直売所」をオープンしました。駅近路地裏の家賃の安い4坪の物件と出会って、ちょうどその時に某ブランドのB品が大量に入荷したので、ゲリラでためしにやってみたんです。
500円均一で新古衣料を販売する
――どうでしたか。
FBで告知しただけなのに1日3時間の営業で40万円売れました。うちは問屋なので小売りは初めてでしたが、すごく売れたので継続することにしたんです。
結局初月は280万円の売上げとなりました。2月に入ってからも、平日で1日10万円のペースで売れていますよ。これから1年かけて実験をしながらノウハウをためて、来年には2号店もつくる予定です。同時にFCも開始しようと思っています。
――加盟店を募集するんですか。
はい。1店で年間3000万円売るような店を、2021年までに50店舗つくろうと思っています。この事業で5年後に15億円、10年後に45億円の売上げを目指します。
こだわると衰退しかない
――問屋事業の御社が、小売りに力を入れるのはおもしろい流れですね。
アパレル卸にこだわると衰退しかないからです。生き残りのために、いろんな挑戦をしています。
――メーカーや販社が過剰在庫を流通させようという気運が高まっている気がしますが、新古品の市場は盛り上がっているわけではないんですか。
20〜30年スパンで私たちの視点で見ると、悪くなっていますね。同業者もどんどんやめていますよ。まず、アパレル自体がユニクロとしまむらに寡占化されていて、個店のカジュアルショップが無くなってしまいました。
そして、昔は見込み生産でモノをつくっていたのが、今はできる限り残りがないようにしっかり管理をするよう変わりました。
残った場合もファミリーセールやアウトレットで販売するなど売り方がうまくなっているし、どこへどうやって売れば一番高く売れるかをメーカーが考えるようになってきたんです。アパレル問屋にこだわっていてはダメになるので、当社は小売もやるし古着もやりますよ。
リユース店の在庫を流通する問屋に
――古着の取扱いも少し前から開始していましたね。
リユースには可能性を感じているので、古着のB to Bでナンバーワンを目指すつもりです。
所在地 東京都中野区沼袋1-13-6
設立 昭和54年
資本金 500万円
年商 5億円
事業内容今年37年目を迎える「ブランド衣料」を中心に取り扱っている現金問屋。
社長プロフィール
386号(2016/2/25発行) 8面