《全国ダーツの旅☆三重県》認知症の母親の身を案じトラクター売却した息子

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《全国ダーツの旅☆三重県》認知症の母親の身を案じトラクター売却した息子

2018年10月09日

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リサイクル通信 全国ダーツの旅

~三重県 編~

ダーツの矢がささったエリアのリサイクルショップに取材するコーナー

五番倉庫松ちゃん堂

認知症の母親の身を案じトラクター売却した息子

松ちゃん堂(三重県度会郡)が運営する五番倉庫松ちゃん堂は農機具等に特化したリサイクルショップだ。数年前、同社にトラクターを買い取って欲しいという依頼があった。松岡博行代表が出張買取に行くと、納屋に中型のトラクターがあり、壮年の男性が「売りたいのはこれです」と言った。代金を支払い、トラックに積み込んで出ようとしたところ、家の2階から高齢の女性が顔を出し、「私の楽しみをとる気かぁ~」と叫んだ。

19-p5.jpg▲売買の多い中古トラクター

その女性は男性の母親だった。男性によれば、母親は一人で農業に従事していたが、認知症の兆候があり、トラクターの運転中に怪我をしたり、人に迷惑をかける可能性が出てきた。男性は会社員で母親を見守る余裕はなく、事故が起こる前にトラクターを売ってしまいたいということだった。だが、死ぬまで農業をやるつもりの母親は納得しない。


松岡代表は二人で良く話し合って欲しいと頼み、店に帰った。「それから暫くして、息子さんから電話があり、お母さんがいない時に家に伺い、トラクターを買い取ってきました。息子さんもお母さんの身を案じてのことなのですが、お母さんにとって、トラクターを手放すのは身を切られる思いだったことでしょう。どちらの気持ちも良くわかり、胸が痛む買い取りでした」(松岡代表)

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第448号(2018/09/25発行)19面

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