《バイヤー道~私の買取接客術~》伊賀井浩介店長、買取額ではなく、"評価額"成約率ほぼ100%
2018年11月21日
バイヤー道
~私の買取接客術~
大進洋行 昭和買取店
伊賀井浩介店長
「お客様は買取店に"おもてなし"を求めている」。そう語るのは、大進洋行昭和買取店(愛知県名古屋市)の伊賀井浩介店長。"笑顔で帰ってもらうこと"を目指し接客にあたっている。伊賀井店長のキラーワードは「評価」。真剣にモノを見て「評価額」を伝えることで、成約率は100%近く。自ら製作したハーバリウムを店内に置き、お客と植物について話すことも。同店長の買取術を聞いた。
成約率を高めるポイント
▶モノを「評価」する、相手を「称賛」する
...人は評価や称賛されることに、嫌な気持ちにならない
▶ムードに「起伏」を付ける
...フロントトークは陽気でも、査定時は真面目に
陽気さと真剣さ織り交ぜギャップを演出
「兄ちゃん、鑑定士?」。入口でお客の見送りを終えた伊賀井店長の元に、近寄ってきた60代女性。そんな陽気なお客に同店長も、「どうぞ、僕を試してみてください」と陽気に返した。店内に入るとエメラルドのリングなど6点を差し出してきた。
査定に移り眼差しを"真剣モード"に一変。直前までの陽気さとのギャップを生み出している 。「大きな石が素敵ですね」。必ずモノを褒めてあげる。ジュエリートレー上に置き替えていく時、重要なのは「その価値わかっていますよ」と相手に訴えるパフォーマンスだ。
石の透明度やデザインの新旧から判断し、価値の高低に分け並べ替えてみる。一瞬でも「おや?」と表情と動作に起伏をつけると、お客は気になり関心を持ってくれる。査定中も話を止めることなく、うん蓄を提供。情報と知識を日々蓄えておくことで 、お客を退屈させずに済む。「私からの評価額は375万円です」。その女性からは2時間以上をかけ買取りに成功したした。
日頃の敬意や気遣いが仕事に反映される
ある日、30代女性がティファニーの宝飾品70点を持って来店。「これ、どうしたんですか?」の問いに、
「売って、寄付でもしようと」と女性客は淡々と話した。「寄付ですか!心が綺麗な方ですね」と返した伊賀井店長。結果、買取りは成約し機嫌よく帰って行った。軽薄に思われることなく相手の機嫌をとるコツについて 、同店長は日頃から他人への敬意や気遣いを意識することで自然に振る舞えるものだと話す。
例えば些細な買い物でもレジ店員に伝える「ありがとう」や、飲食店が混み合い料理の提供が遅い際でも「混んでいて大変ですね」と一声かけてみる。すると、日常の自分の言葉に自然と重みが宿ると言う。
トークのコツ
◆買取額がお客の期待額以下の場合
NOT GOOD 「当店ではコレくらいにしかならないです...」
BETTER 「私は、○○円で最大限評価させて頂きました!」
ポイント
「評価」という表現を用いて伝えると、お客は納得しやすくなる
◆お客から「よそに持っていけば、買取額は変わる?」と聞かれた場合
NOT GOOD 「どうですかね...」
BETTER 「当然変わります!」
ポイント
包み隠さず 、正直に言い切る。
お客は確定情報を提供してくれる所を信じる。
他店は何の買取りに強いかを紹介することも。
第451号(2018/11/10発行)13面