新規顧客獲得もフォローもSNSで、拡散機能でつぶやきが数万人へ
2016年01月10日
学生時代から、インターネットやパソコンなどが普及した環境で育った【デジタルネイティブ】世代が、消費の舞台に上がり始めている。なかでもSNSは彼らの必需品だ。日本のSNS利用人口は、2015年末に6451万人に達する見込み(ICT総研調べ)だ。
高いアンテナを持つリユース企業は、いち早く新しい取り組みに着手し始めている。各社の動向を探った。
つぶやきに遊び心、若者も魅了
「2日で150人。初めての催事で、この半分近くがTwitter経由のお客さまだったんです」。
そう話すのは、リサイクル着物店を都内中心に5店舗運営する福服(東京都新宿区)の福田香代表だ。
同社で昨年から始めた催事イベント。初回は2日間で150名を集客し大盛況を収めた。この集客の要となったのが、Twitterによる告知だった。「その後の催事も、安定して集客できている。若年層や、外国人の方も来ますよ」。リアル店舗やHPだけでは獲得しづらかった客層を、新たに開拓する手段として手ごたえを感じているようだ。
Twitterは自分でつぶやくだけでなく、他のユーザーをフォローしつぶやきを追跡することができる。興味深いつぶやきは、リツイートという共有機能で拡散することも可能。ネズミ算式に情報を広げることができるのだ。
同社のつぶやきも、多いものだと300リツイートを記録したことがある。
「300ユーザーそれぞれのフォロワーに情報がいくので、一度投稿するだけで、何千、何万人に向かって宣伝できます。これまでリーチできなかった層の目に留まる確率も高いですよね」。
更新するのは、主に20~30代の若いスタッフたち。『近所で路上ライブが始まったようです。窓を開けて、BGMを消してお待ちしていますね』。ある日の福服のつぶやきだ。
機械的な更新ではなく、呟いている中の人をしっかりと意識させる。Twitterでは20~30代をターゲットにしており、彼らから身近に感じてもらうためだ。
お客のクレームを未然に防止
福服
福田香代表
定期的に「福服」というキーワードで検索をかけ、お客様の生のつぶやきを拾っています。
先日『福服で買ったはずの足袋が袋に入っていなかった。諦めよう』というつぶやきを発見しました。実は同日に忘れ物の持ち主を、店のTwiitterでも呼びかけたばかり。すぐさまその方とコンタクトを取り、お詫びの品と一緒に足袋をお送りしました。そのお客様には喜んでいただき、今では常連さんの一人です。
このように本来なら届かなかったお客様の声を拾えることで、不満を先回りしてフォローできました。
本だけではないをアピール
「弊社の名前は認知度100%に近いと自負しています」。ブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)の小湊氏が胸を張る通り、同社アカウントのフォロワー数は約2万人と圧倒的だ。では、なぜブックオフは呟くのだろうか。
同社ではTwitterを「お客様にブックオフを知ってもらうためのツールのひとつ」と位置付けている。
例えば、店舗でビニール袋の口を留めるテープ。自動で切り口が二重になる、専用のテープカッターを導入した。お客が袋や商品を傷めず、剥がしやすいようにするためだ。これを先日、画像つきでツイートした。
こういった店頭ではなかなか伝える機会が無い些細な情報を呟くことで、既存客とさらに一歩踏み込んだ関係を築こうとしている。
もう一点重要な役割がある。買取りや加工過程など、店舗の裏側の情報も積極的に発信する。中古に対する漠然とした不安感を拭い去り、これまで利用したことのない層にも来店してもらうためだ。
また、「本だけではないブックオフ」をアピールするためにも活用する。
383号(2016/01/10発行)2~4面