世代・国境を超えてリユース人口拡大
2016年01月10日
2016年はどんな年になるのだろうか。数多くの取材を元に、本紙でリユース市場の今年のトレンドとなる10のキーワードをあげた。新年スタートダッシュを決めるために、参考にしてもらいたい。中古品の売買が人々の生活に溶け込みつつある今、様々な変化が起ころうとしている。
SNSや社会貢献が切り口に
リユース業界にとって、新たな客層にリーチすることがひとつのテーマになりそうだ。
もの心ついた頃からデジタルデバイスに囲まれて育った若者世代(デジタルネイティブ)が消費の舞台にのぼってきた。彼らは、購買行動のプロセスが従来の消費者とは異なる。駆使しているのはTwitterををはじめとしたSNSだ。中古売買のチャネルやマーケティング手法も、これに応じて進化することが求められるようになる(関連記事2〜4面)。
そして、高齢者や富裕層の取り込みの鍵になるのがソーシャル買取りだ。買取り金を本人に戻さず、社会貢献活動に寄付する手法で、これまで買取りに参加しなかった層を呼び込むことができる可能性が高い。
「高価買取」一辺倒の広告が変われば、新しいマーケットの創出につながる。不用品処分でもなく、現金化でもない。人や社会の役立つという第3の買取動機が消費者を振り向かせる。
日本の外にも目を向ける必要が一層高まる。
状態と質のいい日本の中古品は世界中で注目を浴びている。観光客の誘致やECを通じた海外への販売。さらに一歩先には、円高を見越して様々な通貨の国でビジネスを展開するグローバルリユース企業が増加しそうだ。
業界の外からも変化はやってくる。アパレルメーカーの古着販売や大手家具店の中古販売、百貨店の買取り相談など新品流通業者が中古事業に続々と参入している。新品市場のリユース武装は、中古市場に多くの人を呼ぶ。既存事業で多くの顧客を持っているからだ。
こうした企業は実際の買売や査定、オペレーションなどバックヤードをリユース企業に任せるケースも多い。うまくコラボできた中古企業は成長のステップにできそうだ。
中古ならではの良さを表現するリユース店も増えそうだ。新品とは異なるデザイン、持ち主の歴史が刻む温もり―レトロバリューが、若者にとっては新たな出会いになる。
あの頃を思い出させる懐かしい手触りは、お金と時間のある団塊世代を招き入れるに違いない(関連記事24面)。
383号(2016/01/10発行)1面