中古工具店事業に相次ぐ参入、東京五輪絡みによる建設需要の高まりが影響か

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中古工具店事業に相次ぐ参入、東京五輪絡みによる建設需要の高まりが影響か

2019年11月03日

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MARKET Trend

東京五輪絡みによる建設需要の高まりが影響してか、今リユース業界で「工具」の注目が増しているようだ。実態に迫ってみた。

中古工具業界を牽引するアクト中古工具業界を牽引するアクトは年商約14億円を上げる

買取王国(愛知県名古屋市)の「工具買取王国」、カジ・コーポレーション(愛知県名古屋市)の「エコツール」、アップガレージ(神奈川県横浜市)の「ワークガレージ」...など。それまで工具以外の商材をメインとしていたリユース企業が、相次いで中古工具店事業に参入している。

中古工具といえば、業界をリーディングするアクト(埼玉県戸田市)や、ちゅら(埼玉県川越市)などが有力企業にあげられる。2社ともに埼玉が中心地盤。アクトの伊藤啓介社長によれば、「工具の買取りは国内で埼玉が一番」というほどだ。アクトは今10期連続で増収を遂げており、2019年6月期売上では前年比約2億円増となる13.9億円を上げるなど好調だ。

その伊藤氏は、「地方での工具店ニーズは高く、まだまだ空白地がある」と可能性を示唆。一方で、「工具を買取ってもらえる認識は、まだ職人の間で薄い気がする」と指摘している。アクトとしても、「今はパイを奪い合うのでなく、同業者を増やしてパイを広げていく段階」と捉え、アクト主催で業者向けに勉強会を実施するなど、"門下生"を意識的に増やしているというのだ。

伊藤啓介社長アクト 伊藤啓介社長

出店加速させる買取王国

成果が実り始めているのが買取王国だ。2019年2月期売上で、主力の中古ホビーやゲームが前年割れを喫したが、工具売上で前年比倍増の2.7億円を上げ、結果的に会社全体売上で前年割れを免れた。現在、工具買取王国を関西と東海地方に8店展開しており、今後も出店の動きを加速していきそうだ。同じくホビー商材を主力とするカジ・コーポレーションも、実績こそ非開示だが、昨年オープンした1号店が半年で黒字達成するなど好調さを見せた。現在愛知に2店を展開し、2年目実績として年商7000万円を目指している。また2年でのべ3〜5店を展開すると表明している。

この2社は、例えばトヨタをイメージするように製造業がひしめく地の利を活かしている。また地元ではホームセンターのホダカなどの出店増が、新品市場を潤す。買換えによる買取ニーズを拾えるかが鍵となる。2社とも一定の交通量を見据えたロードサイドへの出店形態が中心だ。

工具はフリマとの競争小さい

リユースのBtoC市場は今、メルカリに代表されるCtoC市場との熾烈な競争を繰り広げている。リサイクル通信が推計した2017年度中古市場規模では、初めてネットがリアル販売を超えた。その牽引役を担うのがメルカリなどのフリマアプリ。そのメルカリが2019年6月期決算説明会で発表した年間流通総額は約5000億円で、うち流通の多い商材を上位から見ていくと、レディース23%・エンタメホビー21%・メンズ16%という構成だった。まさに買取王国やカジ・コーポレーションなどが主力とする商材と重なる。そういった側面からも、工具に参入する各社は、CtoC対策として工具事業を育てる思惑もあるだろう。直接現場で工具を扱う職人が、店頭買取で工具を売りに出せば、業者側は稼働チェックや清掃などの再商品化工程が求められる。プロであるリユース業者が再販する中古工具なら、買い手にはフリマより安心感を訴求できる。

求められる盗難対策

業界内ではよく、「工具は盗難品流通が多い」と囁かれる。一般的に工期が長期の現場であれば、職人が工具を置き去りにするケースはある。それが盗まれ店舗に持ち込まれることも想像できる。アクトでは対策として、買取時の身分証提示を写真付きのものを必須にしたり、電話での買取りの問い合わせであれば、CTIとPOSを連動させ、過去に自店舗での利用履歴があるかなどを見て確認したりなどしている。

2019-10-29.png中古工具を扱う企業

他にも、ライフクリエイト(福岡県北九州市)、ツールオフ(運営:ライズ・東京都港区)、寄楽屋(運営:都元・千葉県成田市)など中古工具の有力企業が名を連ねる。今後の競争にも注目していきたい。

第474号(2019/10/25発行)10面

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