フィンランドのリサイクルカルチャー、「クリーニングデイ」が日本でも
2016年09月13日
「クリーニングデイ」をご存知だろうか? 「誰でもどこでもフリーマーケットが開催できる日」として、フィンランドで2012年から年に2回、5月の第4週と8月の最終週の土曜日に開催されているリサイクル・カルチャーイベントだ。1回の開催につき4500ヵ所以上のフリマが行われている。日本にも2014年に上陸。徐々に開催会場を増やしている。
フィンランドで行われているクリーニングデイのフリマの様子
クリーニングデイは3人の若者によってヘルシンキでスタートしたゲリラ的な活動だった。その目的は「リサイクルのハードルを下げる」ことと「地域交流」だ。
クリーニングデイ・ジャパン事務局代表の森下詩子氏はこう説明する。「フィンランドにはもともと古いものを大切にする文化があり、フリマも盛んで、リサイクル店もたくさんある。ただ、町内会のような地域コミュニティ活動が乏しかったんですね。その現状に疑問をもつ機運が高まっていました。庭先、公園、通りなどでフリマを開催すれば人とのつながりができる。クリーニングデイは当時のフィンランドの世情にフィットし、協賛企業も現れて、全国に拡大したのです」
日本上陸のきっかけは映画の配給
クリーニングデイが日本に上陸したきっかけは、森下氏が本職とする映画の配給だった。毎夏フィンランドを訪れていた森下氏は、2013年に映画『365日のシンプルライフ』に出会う。フィンランドの青年が失恋をきっかけに持ち物すべてを倉庫に預け、そこから1日1個選んで持ち帰り、1年間、何も買わずに過ごす様子を描いたドキュメンタリーだ。森下氏はこの映画を買い付け、日本でパンドラと共同配給することにした。
「自分とモノとの関係性を見直したくなる映画でした。そこで、映画の後のアクションに結びつくクリーニングデイを日本での公開に合わせて開催できたら面白いのではないかと考えたのです」。日本では、『モノと対話する日』と位置づけて、古い不要なモノに新しい価値(ストーリー)をつける「アップサイクル・マーケット」を基本コンセプトにすることにした。
地域独自のイベントを全国で開催
鎌倉・稲村ヶ崎会場ではメッセージタグ付きで物々交換が行われた
8月27日に、6回目の日本でのクリーニングデイが開催された。
kinologue主宰/クリーニングデイ・ジャパン代表 森下詩子さん
映画配給・宣伝に約24年携わり、2011年より映画とダイアローグのワークショップ・プロジェクト「kinologue (キノローグ)」を主宰。これまでに東京・南相馬・ヘルシンキ・鎌倉で計17回開催。数年前から毎夏フィンランドに滞在するようになり、ヘルシンキは第2の故郷。2014年5月にフィンランドと同時開催でアップサイクル・カルチャー・イベント「クリーニングデイ」を鎌倉にて初開催。2017年5月27日に第7回を開催予定。
399号(2016/09/10発行)20面