ネット型リユースを展開し、昨年6月にマザーズ上場を果たしたマーケットエンタープライズ(東京都中央区)。2016年6月期の売上高は前期比22%増で49億円弱となった。小林社長は同社を次のステップに向け「リユース企業」から「最適化商社」に変貌させ、2020年には売上高100億円を目指すと言う。
マーケットエンタープライズ 小林泰士社長
時代は新品 or 中古でないシェア利用等「賢い消費」へ
――業績を順調に伸ばしていますね。
小林 前期に神戸と仙台にリユースセンターを設置し、宮城や兵庫周辺の宅配・出張・店頭買取が増えたのが効いてますね。リユースセンターは300〜400坪くらいで、買取りだけでなくネット出品やフルフィルメント(売れた商品の受発注)など全てを行える拠点です。現在は東北、関東、東海、関西、九州に8拠点ですが今後3年で5つほど増やすつもりです。国内には政令指定都市が20都市あるので、そういうエリアに展開したい。ユーザーの身近な地域に拠点を構えることが、「近くにある会社なんだ」と心理的なハードルを下げて買取依頼数アップに繋がりますし、出張買取もより広範囲に、かつ迅速に行えます。
――各拠点の買取りを、どう軌道に乗せますか?
小林 当社は商材ごとに分けた26の買取サイトで集客し、月間3万件の問合せを集めています。これを買取りに繋げ、リユースセンターに橋渡しする「コンタクトセンター」という部門があるんです。
――具体的にはどのようなことを。
小林 電話やメールで事前査定を行って買取価格の目安を伝え、出張・宅配など買取方法を提案し、最寄のリユースセンターに繋ぎます。顧客の要望にきめ細かに対応することで、買取成約率を高めています。
――重要なセクションですね。
小林 ええ。より多くの問合せに対応すべく、既存の東京拠点に加え6月から徳島コンタクトセンターも稼働させましたよ。
「外商の逆で」買取り富裕層の顧客増やす
――8月に富裕層に特化した買取サービス「プライベートバイヤー」も開始しましたね。
小林 月間3万件も問合せがあると、その内の0・1%、だいたい30件くらいには絵画とか高額なバイオリン、当社販売価格で約500万円のパテックフィリップの高級腕時計等の買取相談も出てきます。こうしたものを受け付ける専門窓口で、これを通じ買取った商品のみで、まず3年間かけて5億円を売り上げる計画です。
――既存サービスとは何が違うのですか。
小林 特殊なモノを売りたい時、身近に相談できるコンシェルジュみたいなサービスです。特殊なモノは購入時には、例えば外商マンが海外から絵画や絨毯を買ったりしてきますけど、一方でこれらを売りたくなった時にプライベートバイヤーを使ってもらえれば。だから外商の逆ですよね。これまで出張買取を豊富にこなした熟練メンバーが訪問し、「○○さんのお宅を一括で見させていただきます」というような形で買取りを行います。中には高級車や不動産などの買取相談も予想されますが、当社が扱えないものに関しては専門業者に紹介します。今後は不動産会社や金融機関とも提携し、直接的に顧客紹介を受けて対応する場合もあると思います。
本社 東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル3F
会社設立 2006年7月7日(事業開始年月日2004年11月1日)
資本金 3億486万5,000円(2015年6月末現在)
従業員数 280名(アルバイトスタッフ含む) ※2016年7月末現在
事業内容 ネット型リユース事業
社長プロフィール
399号(2016/09/10発行)7面