生前整理の際に問題となるのが、高齢者特有の「勿体ない」という意識です。物が多すぎて支障があるから業者に依頼しているはずなのに、多くの高齢者がゴミに等しい物でも捨てられません。今回は捨てるのを抗った依頼者の父親を長い時間をかけて説得した事例をご紹介します。
実家片付けで心折れた娘
ホームページには「遺品整理」や「終活」のコラムが掲載されている
娘や息子一家と暮らすことになり、生前整理をする高齢者は少なくない。その時に問題となるのが、子供と親の物に対する認識の違いだ。関西エコクリーン(大阪府大阪市)が最近手がけた生前整理でも、依頼者である娘と父親の意見が一致せず、竹中暢臣社長は二人の板挟みとなって苦労したという。
依頼者は30代前半の女性だった。女性は両親が住んでいる実家を解体し、そこに二世帯住宅を建てて、自分と夫、5ヵ月後に生まれてくる子供、それに70代の両親と5人で住む予定だった。その為には、実家の物を仮住まいに移さなければならない。ところが実家はゴミ屋敷状態で、物で溢れていた。最初は依頼主が自分で片付けようとしたが、心が折れてしまった。解体の日は目の前に迫っている。そこでプロの手を借りたいと依頼されたのだ。
第560号(2023/05/25発行)23面