印判小皿になます皿など、手頃な価格のアンティーク和食器を揃える「吉祥寺 PukuPuku 中道通り店」。初心者でも入りやすく、骨董への入り口となるような店だ。外国人観光客にも人気で、幅広い客層で賑わっている。
今の時代に合った和食器の使い方を提案
「印判小皿は規定の大きさがあり、収納しやすいのも魅力ですね。サイズを合わせて色々な柄を集めて楽しんでいる方もいます」。そう話すのは、吉祥寺 PukuPukuのスタッフ・福田依子さんだ。店頭在庫は約1万5000点。その内7割が伊万里で、その他瀬戸焼、美濃焼などのアンティーク和食器が陳列されている。
福田依子さん
その種類と量の豊富さから料理店関係者が来店し、購入することもある。遠くは山梨の旅館からも買い付けに来たそうだ。「量が多いので、目移りしてしまうお客様もいらっしゃいます。どのようなサイズや文様のものを探しているのか、話を伺ってこちらから提案するようにしています」と福田さん。特に若い人には食器の使い方を伝えるようにしている。「蓋付きの深いお茶碗は、常備菜入れにすればラップをかけずにすみます。また、そばの猪口は小皿と合わせてカップ&ソーサーにすれば贈り物として喜ばれます。今の時代に合った使い方を提案しています」今後はさらに実店舗を増やしていきたいと考えている。
オンラインショップが増える中、直に手に取って、昔ならではの食器の良さを感じてもらいたいと考えているからだ。「いつかはテーブルコーディネートや金継ぎなどのイベントも開催できたらいいなと思っています」と福田さんは話している。
お客が手に取りやすいよう、平台に印判小皿を並べている。様々な文様があり、見ているだけでも楽しくなる
文様で人気なのは「微塵唐草(みじんからくさ)」。明治初期のものになると、染料も蓋の色が鮮やかになってくる。福田さんは「明治以降になると、文様も西洋のテイストが取り入れられ、モダンになってきます。ロイヤルコペンハーゲンの食器のような雰囲気もあって、他の洋食器と合わせても違和感がないんですよ」と話す
底が平らで、やや深さがあるなます皿も売れ筋。サラダや煮物を盛りつけたり、おでんなどの汁物の取り皿として使われている。「現代の食器は底が平らになっているデザインがあまりないので、重宝されているようです」と福田さん
時代でコーナー分けして、それぞれの良さを
江戸時代から幕末~明治にかけての食器と、大正以降の食器はコーナーを分けて陳列。それぞれの食器の良さが引き立つようにしている。「一緒に並べてしまうと、江戸時代のものの値段を高く感じられるようです。分けて陳列をすることで、お客様にそれぞれの価値を伝えるようにしています」(福田さん)
江戸時代から明治
江戸時代の食器の文様は1点1点、全部手書き。描かれている絵柄も絵画的だ
大正から戦前
大正から戦前の小皿はプリントのものになる。使われている色が増え、華やかな印象
外国人観光客に人気の商品
和菓子を成形するための木箱は外国人観光客に人気。そのままディスプレイしたり、ラップをかけて石鹸や紙粘土の型として使ったりすることがあるそう。日本人でも作家が作品作りのために購入するケースもあるとか
韓国の若い女性客がよく購入するのが、ガラス食器。可愛らしいデザインのものがお土産として売れている
骨董好きにはたまらない西公園前店
リーズナブルな商品が多い中道通り店に対し、こちらは江戸時代から大正までの食器がメイン。商店街の奥にあることから、年配の方や骨董好きがゆっくり落ち着いて商品を見ることができる空間になっている
オープン | 2011年11月 |
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取扱い商品 | アンティーク和食器9割、古道具1割 |
客層 | 男:女=4:6 |
スタッフ数 | 2店舗合わせて7名(常駐3名) |
備考 | 店舗面積/9坪(西公園前店は7坪) 店頭在庫/約15000点 吉祥寺 PkuPkuは2010年9月に西公園前店がオープン。その後、同じ商店街の中に中道通り店が2011年11月にオープンした。 |
第456号(2019/01/25発行)13面