ローソンHMVエンタテイメント(東京都品川区)が、渋谷に中古レコードを主体としたショップをオープンして1年が経過した。縮小する音楽市場において、中古をテコに伸ばす道が見えてきたようだ。執行役員で中古・専門店推進部の部長もつとめる小松正人氏に、狙いや今後の展開を詳しく聞いた。
宅配買取ネット販売スキームで 古本とゲーム着手の構想も
――渋谷店のオープンから1年が経過しました。「中古にトライした1年」だったと思いますが、やってみてどうですか。
やはり需要がありますね。特に実店舗ではアナログレコードの需要が圧倒的で、10万点の在庫の内、8割以上をアナログで揃えています。客層も当初は40〜50代の男性がメインになると思っていましたが、実際には30代が最も多いという結果に。若い世代のニーズが高いということで、将来性を感じています。
――中古ショップをこれから増やす予定はありますか。
まさに今、横展開を検討しているところです。中古レコードと中古CDという同じコンセプトのお店を、大都市のターミナルに出したいと考えています。
――オンラインでも中古を販売していますね。
この店をきっかけにEコマースも本格化したわけですが、こちらは中古CDを中心に好調に伸びています。この宅配買取りで集めてネット販売するという仕組みはさらに拡大できると考えていて、次の段階では本やゲームに着手することも構想にあります。
――本とゲームですか?
特に主眼を置いているのは本ですね。実は11月に「HMV&BOOKS TOKYO」という新業態の店をオープンするんです。書籍メインで、CDなど合わせた複合店にする予定ですよ。この店ができることでHMVが「本を販売している」という認知も広がるでしょうから、ネットで中古本の買取りや販売もできるようになるのではないかと考えています。
新品と中古の併売が増えている
――HMVは、なぜ中古に取り組むことにしたんですか。
新品のパッケージメディアが落ち込んでいる中で、色んなもので補完していかなければならない。その中で中古にチャレンジすることも必要だと考えたんです。新品は生産数が落ちてタイトル数が減っていることにも危機感を持っていました。中古を入れれば、過去の作品も扱えるのでタイトル数を増やすことができます。
――中古は粗利益率も新品よりずいぶん高いでしょうね。どのくらい違いますか?
そうですね、新品の粗利益率は2〜3割程度ですが、中古は「これよりずっと高い」という表現にとどめておきます(笑)。それに中古はそれそのものの販売だけでなく、色んなシナジーも生んでいます。新品が先か中古が先かは不明ですが、特にオンラインでは新品中古を合わせて併売できるケースが増えてきました。
本店所在地:東京都品川区大崎1-11-2ゲートシティ大崎イーストタワー6F
設 立:1992年7月23日
資 本 金:1億円
株 主:ローソン(100%)
代 表 者:代表取締役社長 坂本健
従 業 員 数:1217人(契約・パート社員含む)
店 舗 数:HMV店舗53店
事 業 内 容:チケット事業、音楽・映像、関連グッズ・書籍等のオンライン販売、音楽配信、レーベル、広告販促、商品開発、ファンクラブ企画運営、イベント企画運営など
プロフィール
2006年 HMV渋谷を含む、首都圏店舗エリアマネジャー着任
2009年 執行役員商品本部長着任
2014年 新業態・開発本部中古・専門店推進部立ち上げ、現職に着任。海外買付けを含む仕入全般、および店内デザインなどの指揮を取る。「HMV recordshop渋谷」の事業責任者
376号(2015/09/25発行)7面