マックスガイ、ポジティブな生前整理を
2017年01月19日
売ったお金で海外旅行に...♪
アクティブシニアという言葉をご存知だろうか?自分なりの価値観をもち、趣味や様々な活動に意欲的に取り組むシニア層が増えている。これは、彼らの終活や生前整理にも影響を与えていると言う。「片付いた部屋で友だちを呼んでお茶したい」、「不要品を売ったお金で海外旅行に行こう」。リユース店を訪れるシニア層の間で、このようなポジティブな考え方が広がっている。
アクティブシニアが増えている
終活カウンセラーで他店と差別化
「この指輪を売って、旅行に行きたいの」。マックスガイ(東京都中央区)が運営する買取店ザ・ゴールド銀座店には、こんなシニア層のお客が続々と訪れている。
同店はスタッフ全員が「終活カウンセラー」の資格を所持し、相続や保険などについても相談できる買取店として、昨年5月にオープンした。競合がひしめき合う銀座で、差別化を図るためこのような形態をとったと言う。
本人だけでなく50代以上や、30〜40代のお客が親の相談を持ちかけることもある。
三戸一城店長は、「もういらないから物を売って、おいしい物を食べたり、旅行にいくなど『思い出』、『体験』として自分に還元しようと言う、ポジティブな方が多くなってきています」と話す。
査定中に話題が自然と『終活』に及ぶことも多い。「資格を持っていることで、その人が価格と思い出のどちらを重視しているかなど深いところまで話せるんです」。
例えば娘に指輪を譲りたいと考えている女性。重視するのが価値の場合は現在の査定額や、未来の参考査定額。思い出の場合は、遺言やエンディングノートの書き方をアドバイスする。
生前整理を考える人の中には、「自分がいなくなった後の遺品整理では、遺族に負担をかけてしまうかもと不安だ」と話す人も少なくないと言う。
同店では現在個別にエンディングノートを配ったり、書き方をアドバイスしている。また、相談内容によっては保険会社など関係機関に紹介することも可能だ。今後はセミナーやニーズに応じて相談料をとるなど、新たなマネタイズビジネスとして確立する可能性もあると言う。
「我々のアドバイス次第で、その人の一生が変わるかもしれない。リユース業界では、まだ取得率が低い資格なので可能性は多岐に渡ると考えています」。
ザ・ゴールドに店内ではカウンター脇にスタッフのプロフィールをおき、お客の緊張をほぐす
生前整理で友達を呼べる家に
遺品整理などを年間1500件以上行うリリーフ(兵庫県西宮市)では、生前整理のセミナーを全国で年間150件以上行っている。寺院や葬儀会社、行政から依頼が絶えない。「生前整理に興味を持つ人がじわじわ増えているんだと思います」(赤澤知宣取締役)。
同社は『片付け』という切り口でアプローチする。「4人家族の場合、子どもが独立すると夫婦2人。しかしモノは4人ぶんのまま生活する人が多く、過剰なんです」。
生前整理に興味を示す人は子どもに迷惑をかけたくないと言う思いがまず前提にある。「実家の片づけには、半年から1年かかるデータがあるんです。自分の死後、子どもたちにこんな負担をかけたくないと取り組む人が多いですね」。
しかしそれだけでなく昨今高まってきているのが、自分の暮らしをより良くしたいという前向きな動機。「モノに溢れた家ではなく、整理整頓した家で快適に暮らしたい。友だちを呼んでお茶したいなどと言う目的を持ち片付けに踏み切る方も増えてきています」。
生前整理の依頼は全体の1割程だが、「我々業者を使わなくとも、個人的に取り組んでいるのではないか」と推測する。同社ではセミナーで、遺品整理の大変さや片付けの仕方を教え、生前整理を押しすすめている。
ザ・ゴールド銀座店 三戸一城店長
リリーフ 赤澤知宣取締役
407号(2017/01/10発行)28面