貴金属やブランド買取りの「エブリデイゴールドラッシュ」を13店展開する東洋(埼玉県北本市)。同社は、不良在庫化していた小さな色石を、「宝石キャッチャー」というゲームセンターの景品に変身させ、アワードで金賞を受賞した。これが効き、東洋はリユース部門もゲーム部門も売上げを伸ばしている。どうやって生み出したのか。開発秘話を聞いた。
小さな色石を「宝石キャッチャー」という景品に
「大量の売れない色石を、実は7〜8年ずっと溜めていたんです」(天沼慎五統括マネージャー)。
東洋は31期目に入る息の長い会社だが、貴金属・宝飾品の買取を始めたのは2008年8月のこと。金・プラチナの高騰を受けて、事業を開始した。
地金が買取のメインで、宝石で分かるのはダイヤモンドくらい。地金を売却すると戻ってくる色石をうまく活用できなかった。
「色石を買い取るっていう業者に売却したりしましたが、二束三文にしかならない。ミカン箱いっぱい売ってもまとめて数万円ですという感じでした」(天沼氏)
特に1キャラットない小さなものはほとんど値がつかず、倉庫に眠ったままになっていた。
差別化のため宝石の勉強開始
この問題とは別に、中村社長は当時、競合との差別化のためにも宝石を強くすべきだと考えていた。そこでブランド担当だった天沼氏に、宝石の勉強をするように指令を出す。この判断が、後に宝石キャッチャーを生み出すことになる。
天沼氏は諏訪貿易や日本宝飾クラフト学院、中央宝石研究所、AGTジェムラボラトリーなどに出向き、「2年間宝石の勉強だけをしっかりやらせてもらった」(天沼氏)と言う。
「宝石に特化して勉強していくと、ミカン箱いっぱいにある色石の中に、価値のあるものと無いものがあることが分かってきて。価値あるものは、新品仕上げをしてジュエリーとして再販すればいい。価値の無いものは、ゲームセンターの景品にしたらいいんじゃないかと、ふと思いついたんです」(天沼氏)
ゲームセンターの担当者に相談すると、「いけるでしょ」と盛り上がり、商品化することになった。5センチ角のケースに1キャラ以下の色石を入れて、宝石名を書いたポップを入れて、アームでひっかけるための輪っかを付けたら「宝石キャッチャー」の完成だ。
ゲーム店の客層は男性が多いものだが、同社の店舗はクレーンゲームに特化しているためもともとファミリー層が多かった。景品として投入してみると、老若男女問わず熱中した。
「100円で、宝石がとれたらお客さんは喜んでくれる。小さくても宝石ってキレイで価値があるんです」(天沼氏)
クレーンゲームの景品として人気を博している
410号(2017/02/25発行)16面