第7回 市場で好かれるバイヤーとは?
この春から心機一転、市場に参加しようと考える皆様の中には、新たな環境での人間関係に不安を抱く方もいるのでは。今回はそんな皆様にぜひお伝えしたい「好印象バイヤーの心得」をお話します。
まず、ここで挙げる好印象バイヤーとは、"振り手(会主) に好かれるバイヤー"ということを付け加えておきます。振り手に好かれるバイヤーとは、その市場に参加している人たちが気持ちよく売買できる「競り方」を知っている人ともいえます。市場は参加者みんなでつくるものですから、こうした心得を踏まえている人が当然好かれます。
まずは大きくハッキリした発句を
さらに、振り手に好かれる=振り手に対して自分を効果的にアピールできれば、目当ての品物を落札できるチャンスも高くなりますから、一石二鳥ですよ!
さて、買い手としても振り手としても、私が長年市場に参加してきて分かったのは「好かれるバイヤー」は『Voice (声)』『Early (早さ)』『Timing (タイミング)』、これら三つの要素を持ち合わせていることです。
好印象バイヤーの三要素
まず、『Voice (声)』については「大きく、聞き取りやすい発句」のこと。発句が飛び交い白熱する競り上がりの最中では、これができるのとできないのでは落札の成否に大きな違いが出てきます。さらに、声の大きさは振り手に対するアピールはもとより、周囲の買い手が続けざまに発句する際にも戸惑いを与えない点においても大切ですね。
次に『Early (早さ)』。これは「発句の早さ」のことです。これまでにもお伝えしたように、一点10秒程度で次々と品物が流れていく競りでは、リズム感とスピード感がとても大切!流れに乗るように素早い発句ができると、スムーズな進行から自然と競りも盛り上がりやすくなってきます。
最後は『Timing (タイミング)』。こちらも文字どおり「発句のタイミング」のことですが、好かれるバイヤーの三要素においてもっとも重要といえるかもしれません。タイミングを逸した発句は、意図せずとも競り上がりの際に敬遠されがちなアト乗りやチョイ乗りになってしまう恐れがあるからです。
スピーディーな進行で会場が沸いた競り上がりの最後がこれらで終わってしまうと、場合によって会場全体を白けさせてしまうことも...。(もっとも重要な要素ながら、先に挙げた二つと違って自分では気づきにくいのも難儀なところ(汗)
以上、三つの要素をお伝えしましたが、いかがでしょうか。初めからすべてをソツなくこなすのは至難の業ですから、まずは『Voice (声)』を念頭に、大きくハッキリした発句を心掛けてみることをオススメします。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ
執行役員 兼 オークション事業本部 本部長
Profile
グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
364号(2015/03/25発行)13面