お客のジュエリーライフをプランニング ― アイデクト 藤野匡生社長

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「インタビュー」

お客のジュエリーライフをプランニング ― アイデクト 藤野匡生社長

2017年05月01日

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フランチャイズをスタート
独自システムや人材育成術提供

買取・販売・修理・オーダーとジュエリーのトータルサービスを提供する、アイデクト(東京都中央区)。現在23店を展開し、年商約25億円をあげている。多くの金・プラチナ買取店が苦境に立たされている中、藤野匡生社長は「ジュエリー市場はこれから本格化していく」とポジティブな展望を話す。そう考えるのは、同社が作った「マイジュエリーボックス」というシステムが、お客との関係性をがらりと変えるからだ。

アイデクト 藤野匡生社長アイデクト 藤野匡生社長

――「マイジュエリーボックス」はどんなシステムですか。これで何を起こそうとしているのですか?

当社のやり方はまずお客様に「ジュエリーをひと通り持ってきてください」というところからスタートしていて、お持ちのジュエリーをどうすれば最適に管理できるかプランニングしていきます。

お持ちいただいたジュエリーをネット上で管理できるようにしたシステムが、「マイジュエリーボックス」です。お客様はもちろんスタッフも常に見ることができます。現在直営店で8万5000人の会員、18万点のジュエリーが登録されています。お持ちいただいた時期や登録データを見ながら、「じゃあこれはリフォームしましょう」とか、「これは今売ったほうがいいですよ」といった具合にスタッフがひとつひとつにアドバイスを挟みながら、今後の計画を立てていきます。

――そんなにスムーズに持ってきてくれるものですか?

初めはリフォーム1点で持ってきただけなのに、もうめんどくさいなこの人はって感じですけど(笑)。でもちゃんとジュエリーの特性みたいなものをしっかりお伝えした上で、管理をプランニングするメリットとか、修理なんてしている場合じゃないですよとか、逆に修理しないで売っちゃうと損ですよとか、こういうお話をして差し上げる。その結果リピート率は、全体で45%ほどです。

――結局満足度が高くなるわけですね。でも、店頭に立つスタッフの知識がすごく問われそうですね。

はい。「専門性」をキーワードに昨年の9月から社内の資格制度を整備しました。ジュエリープランニングには大きく4つのスキルが必要だと思うんです。

1つ目は「ジュエリーの本質を伝える力」。ジュエリーは売ったり、作り変えたり、メンテナンスすることで価値が上がります。そいうことを知識の無いお客様にも、しっかりと伝えなければなりません。2つ目は、「バリューアップのメリットを伝える力」。例えばデザインを変えると、100万円だったモノが150万円になりますと言う風なことですね。3つ目は「ジュエリーの知識」。相場や石の種類、質だけでなく、デザインの新旧や歴史などを知っているかも大切です。最後の4つ目は「アイデクトの良さを伝える力」。他社さんとの違いをしっかりアピールできるかということですね。

以上4大項目を細かくスキルベースに分け教育し、試験に合格すると基本給が上がる仕組みです。14ランクに分けています。

ジュエリー業界はむしろこれから

――ジュエリーマーケットの現状ってどうなんでしょう。

一次流通は、中国需要や国内需要も押しなべてそんなに良いってわけではないと思います。アパレルほどではないですけど、従来通り何とか維持していくという形でしょうね。一方で二次流通は、希望的観測も入っているかもしれませんが、これから伸びると強く感じます。金プラのような一次売却需要は落ち着いたと思いますが、我々がターゲットとするのはそこではありません。消費者が売らないジュエリーって、ブライダルや形見など絶対リサイクルマーケットに出てこないものと、例えばデザインが古いとかで着けないけど捨てないというものの2つに分かれるんです。後者はすごいボリュームだと思うんですよね。そこを取っていけるのは単純なリサイクル業ではなく、我々のような業態だろうなと。1つリフォームしたいけど残りは売っていいなとか、そういうニーズに対応ができますよね。こういった意味では金プラ買取店はしんどいかもしれないけど、ジュエリー業界はむしろこれからマーケットが本格化していくと言う見立てです。ヨーロッパ型のジュエリーライフっていうんですか。それを広めていきたいです。

――ヨーロッパでは御社みたいな業態でやってらっしゃっているところが結構あるんですか?

ヨーロッパは基本的に新品も、中古も併売しています。業歴の長いジュエリー商さんはリフォームも含めて売上げの40〜50%はセカンダリー部分が占めているようです。

会社概要
商   号 株式会社アイデクト
設   立 2008年9月1日
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋2-3-6 日土地日本橋ビル4階
資 本 金 1億円
従 業 員 数 117名(2016年9月1日現在)

社長プロフィール
1987年株式会社富士銀行(現みずほ銀行)入社。富士総合研究所(現みずほ研究所)に出向し、産業アナリストとして小売・サービス・不動産業の分析に従事した後、国際金融担当のチーフマーケットエコノミストに就任。2003年不動産ベンチャー企業、株式会社クリードに入社。経営企画責任者として2005年に東証第一部に上場を果たす。2006年ベンチャー企業へのハンズオン投資を行う、株式会社エムアウトに入社。副社長として、投資案件の選定・事業育成・売却に至るプロセス全般を統括。2009年投資先である株式会社アイデクト代表取締役に就任。また日本でジュエリー資産の活用の啓蒙活動にも尽力。金融・不動産・貴金属・ジュエリーすべての資産管理・マーケット分析に実際に携わった経験を持つ。
趣味はジャズピアノと料理。週末は毎回違う食材を試しており、今までに考案したパスタ料理の種類は200以上にのぼる。

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414号(2017/04/25発行)7面

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