INTERVIEW
月間流通額100億円超えを達成し、「フリマアプリ」を瞬く間に世に広めたメルカリ(東京都港区)。同社はその中から、本・CD・DVDを切り出して「メルカリ カウル」を5月にリリースした。今後はエンタメ・ホビーにも取扱いを拡大し、年内にはさらにもうひとつ、新たなアプリをリリース予定だと言う。メルカリの新規事業を担うソウゾウの執行役員、藤﨑研一朗氏に全容を聞いた。
ソウゾウ執行役員 藤﨑研一朗氏
本とエンタメ商材のフリマアプリ
−−なぜ、本・CD・DVDに特化したメルカリの姉妹アプリをつくったのですか。
本やCDは多くの人が持っています。多少状態が良くなくても、中身が読めればいいし音楽も聴ければいいので価値が劣化しづらい。中古で循環しやすいと考えました。
−−メルカリの中に置いておかずに、切り出したのはなぜですか。
金額が小さくて数が多いので、より簡単に出品できるように、別アプリにしました。
−−バーコードを読み取るだけでタイトルや著者名も取得でき、売れやすい金額も提案してくれるようですね。類似サービスでブクマ!がありますが。
カウルは、本やコミックだけじゃなく、エンタメ・ホビージャンルに取扱いを拡張していく予定です。メルカリブックスという名称にしなかったのは、横展開を見据えてのこと。
また、出品だけでなく「買い場」としても想起されるようにしようと考えています。メルカリと連携しているので、メルカリにプールしてある売上金やポイントで決済できるというのも他には無い特長です。
−−出足はどうでしょうか。
想定の数倍で利用されています。メルカリユーザーに違和感なく、スムーズに使ってもらえているようです。まずはメルカリとの連携を強くして、その後には大きめの広告も考えています。
−−流通額やDL数の目標は。
最低ラインで年300万DLですね。流通額は、メルカリと連携しているので単体ではちょっと立てにくい。
−−新刊も扱うそうですね。
6月を目途に、取次ぎと組んでやりたいと思っています。売る場所としてクローズアップしてもらうことが多いですが、買う選択肢にならないと伸びない。そのためには新刊も含めてモノがあるというのが重要です。
−−本の市場は縮小すると言われていますが。
新刊で2兆円ある大きな市場です。電子化が騒がれましたが10〜20%程度しか移行しておらず、足元で紙の本は無くなっていない。着実にカウルはまわっていく。
文化的なインフラにしたいんです。メルカリの売上げが本のカルチャーに寄与されるような。今の若者は読書意欲が高いのですが、おこづかいや仕送りが減ってアルバイトする時間が増えている。その中でどう読書にあてる時間やお金を確保するか。カウルをつかうことで、新刊も含め本を買う予算をつくることができ、読める量や機会を増やすことができたらいい。その先の展開として、ステップバイステップでつくり手に寄り添える仕組みもできればと思っています。
メルカリは、本・CD・DVD専用の姉妹アプリ「メルカリ カウル」のiOS版を5月8日にリリースした
処分ニーズに強いBO
−−古本の流通といえばブックオフが想起されますが、藤㟢さんはどう見ていますか。
417号(2017/06/10発行)24面